この記事を、石黒氏の友人で「一般社団法人 北海道観光資源創造センター」理事長の永山茂氏が見つけて、「だれかいませんか」とSNSでシェアした。永山氏と私は取材させていただいた縁でつながっている。
私も『オホーツクに消ゆ ~北海道連鎖殺人~』のファンだった。そしてなにより、このゲームを発売した会社は、かつて私が勤務していた「株式会社アスキー」であり、発売部署のログイン編集部は私が広告営業を担当した。
アスキーはもうないけれども、「ファミ通」などゲーム関連の出版、メディアミックス事業はKADOKAWAが継承している。そこにアスキー時代に私と同期入社だった青柳昌行氏がいる。PCゲーム雑誌「ログイン」の「青柳ういろう」こと8代目編集長だ。現在はKADOKAWAで出版部門の執行役員(Chief Publishing Officer)でもある。KADOKAWAの許諾を得る条件は、堀井雄二氏、上野利幸氏、荒井清和氏の承諾を得ること。
私は4代目ログイン編集長の河野真太郎氏を頼りに上野氏と連絡し、私の友人でゲームクリエーターの樋口浩路氏に荒井清和氏と堀井雄二氏をつないでもらった。私のお手伝いはここまで、これ以降のたいへんな実務作業は石黒氏と樋口氏の活躍によるものだ。
実在の駅を「第2の殺人事件現場」として紹介するスタッフ
JR北海道は2017年から観光列車「流氷物語号」を運行している。オホーツク沿岸の網走~知床斜里間で、2両編成の快速列車だから乗車券のみで利用できる。「流氷物語号」は網走市など沿線自治体の要望と協力で実現した列車で、国内外の観光客から人気が高い。
2021年、「流氷物語号」と『オホーツクに消ゆ~北海道連鎖殺人~』のコラボレーションが実現した。コラボレーション仕様として、ヘッドマーク、行先表示板などに『オホーツクに消ゆ ~北海道連鎖殺人~』の登場人物と「涙彫ニポポ」が描かれた。車内では、ボランティアスタッフが観光案内放送を手がけ、ゲームの内容に触れ、第2の殺人事件現場として北浜駅を紹介した。
記念品販売コーナーにもゲームのキャラクターをあしらったグッズを多数用意している。車内販売のコラボ商品の中に「涙彫ニポポ」がある。3000円という値段にもかかわらずよく売れている。ゲームの中で犯人に近づくカギとなるアイテムが実現したとなれば、かつて自分で涙を彫ったファンはもちろん、ゲームファンには魅力的だ。