今回取材した南池袋店(東京都豊島区)の入り口には、本日のコーヒーならぬ「本日のみそ汁 3種類の具が入っています 海苔 油揚げ 青ねぎ」と掲げてあった。
卵かけご飯に添えるのは醤油ではない
朝のメニューらしく「卵かけご飯」(330円)も提供する。面白いのは醤油ではなく、オリジナルのハンバーグソースが用意されること。頼めば醤油も出してくれるが、多くのお客さんがハンバーグソースをかける。
「びっくりドンキーのハンバーグソースは、和風の醤油ベースでご飯とみそ汁に合う味つけにしています。そのレシピは厳格に管理されており、社内でも数人の関係者しか知らない秘伝の味ですが、卵かけご飯にも合う味なのです」(堀さん)
爆発的に利用とまではいかないが、午後の時間から「ちょい飲み」する人も増えた。北海道小樽市で製造する自社製クラフトビールを頼む人もいる。近年は単品メニューも充実させており、「さくさくイカ唐揚げ」や北海道の会社らしく「ザンギ&ポテト」もある。
前編で紹介した5つの特徴のうち、「時間帯別に楽しめる」メニューをそろえた結果、モーニングやちょい飲みの利用が増えて売り上げに上乗せされた。
こうした施策が功を奏したようだ。びっくりドンキーチェーンとしての年間売上高は2023年3月期に666億円と過去最高を記録し、2024年3月期は700億円以上を見込む。びっくりドンキーの店舗数もコロナ前の「330店」(2019年)から「343店」(2024年2月末)に拡大した。
長年愛される店になるために
びっくりドンキーの前身となる「ハンバーガーとサラダの店・べる」(岩手県盛岡市)が開業したのは1968年だ。長年続く店になるには顧客の世代交代も欠かせない。
将来の顧客となる子どもたちに人気なのが「もぐチャレ‼」という企画だ。
「きちんと残さず食べたら1回目のチャレンジ成功で小さな表彰状を渡し、2回目のチャレンジ成功で前回もらった表彰状にふたつ目のスタンプを押印。3回目の来店時に2回成功した表彰状を見せるとデザートをプレゼントする企画です。