子どもたちの『残さず食べる』を応援するために始めました。好き嫌いをなくすことで健康に貢献し、食べ残しが減ることで地球環境にもやさしい。年間約45万人以上のお子さまが参加してくれています」(堀さん)
子ども時代の外食体験は、大人になっても覚えていることが多い。小さい頃は家族や親戚に連れられてきた店に、成長すると友達やカップルで訪れる人もいる。店側は、時に「何らかの楽しい体験」を用意するのも大切なようだ。
消費者は意外と業態を気にしない
最後に、少し引いた視点で「消費者の外食」について考えてみたい。
筆者は20年近く、カフェをはじめとする外食店を取材してきたが、現代の消費者(受け手)は、送り手(店や企業)が思うほど業態を気にしない。その時の自分の気持ちや予算(使いたい金額や許せる価格)にピンとくれば、気軽に利用する。
2013年に大ヒット商品となり、消費生活に浸透した「コンビニコーヒー」が代表例だ。最大手のセブン‐イレブンが「セブンカフェ」で仕掛けて大ヒットすると、競合も追随して一大勢力となった。この事例は業態を超えた象徴だと筆者は考える。コンビニ店内のイスに座ってコーヒーを楽しむ消費者は、小売店で飲食している意識はないだろう。
びっくりドンキーがコロナ禍で行ったのは、「店側の思い込みをひとまず横に置く」姿勢だった。「レストランだからランチ以降の来店客で勝負」ではなく、「朝からハンバーグを食べたい人(モーニング)も、自宅でハンバーグを食べたい人(テイクアウトやデリバリー)も一定数いる」ことがわかった。
それまで、びっくりドンキーの利用頻度は平均して「3カ月に1回」だったと聞く。その来店頻度を増やすのにも注力した結果、「みそ汁が人気ベスト3」になるなど、新たな需要が生まれたのだ。
経済ジャーナリスト/経営コンサルタント
学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。