東京都心から約360km離れた絶海の孤島・青ヶ島。2024年1月1日時点の人口は156人という「日本一人口の少ない村」だ。
青ヶ島に行くには、八丈島から1日1便9席しかないヘリコプターか、週に5回運行している連絡船を利用する必要がある。連絡船は、流れの早い黒潮の影響で予定どおり運航するとは限らない。黒潮に加えて強い西風が吹く冬場の就航率は、5割を切ることも多い。
今回は、前編に引き続き特に上陸しづらい「冬の青ヶ島」に1週間滞在して、現地を取材した様子をお伝えする。島の物流の要である連絡船が、8日ぶりに運航することになった。久しぶりの船の到着に、島はどんな変化が起こるのだろうか。(全3回の2回目/3回目に続く)
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荷物を積んだ連絡船「あおがしま丸」が港に到着
2023年12月19日、島しょ地域のブランド化を推進する「東京宝島アクセラレーションプログラム」が支援する、移住体験プロジェクトの参加者として、筆者が青ヶ島に滞在して4日目。青ヶ島に8日ぶりの連絡船が到着することになった。前編でヘリポートから集落までは徒歩で行けると書いたが、港と集落は歩くと1時間以上かかる。そのため、連絡船を使って青ヶ島に上陸する場合は、レンタカーの予約が必須だ。
私もこの日は、レンタカーで港まで行った。12時半頃、青ヶ島唯一の港である「三宝港」に、連絡船「あおがしま丸」が到着した。
三宝港を「青ヶ島唯一の港」と紹介したが、地図上には島の南東部にもう1つの港「大千代港」が存在している。連絡船の就航率が5割前後と低い青ヶ島ではかつて、その状況を解消するために、青ヶ島第二の玄関口として大千代港の整備が進められていた。
しかし、1994年9月に崩落事故が発生。港に向かう道路が崩れ落ち、大千代港は実質廃港となった。この事故で3人が犠牲になり、現在も大千代港への道路は封鎖されている。