総選挙の比例区に24人の候補者を立て、自身は2番目にリストされている。「政権審判」というスローガンを掲げ、尹政権を「検察独裁」と猛批判。2027年まで任期がある尹大統領を指して「残り3年は長すぎる」と繰り返し、公約には「尹大統領の弾劾」、そして尹大統領の検察時代の右腕で、現在は与党のトップといわれる韓東勲非常対策委員長を捜査する「特別検察法発議」を掲げている。
常識的に考えれば非難の的となるが…
尹大統領の側近が出馬する地区をまわって「応酬遊説」だと豪語し、個人的な報復のために新党を立ち上げたことも公言して憚らない。それでも予想に反して支持率は日に日に上昇し、比例ではついに「国民の力」や「共に民主党」を上回って支持率トップに立った。「悪夢だ」と嘆息するのは中道系紙記者だ。
「尹大統領が誕生した大統領選挙で『共に民主党』は僅差で負けましたが、この敗北の原因のひとつが曺国元法相の娘の不正入学事件でした。公正を掲げる人物が、私生活では子供のために法を犯して不正を行っていたわけですから、少なくない支持者が離れたんです。
上告し最高裁裁判を控えており、一審・二審では有罪判決を受けている人物ですから、政党を立ち上げたところで常識的に考えれば非難の的となります。ところが、この熱狂ぶりです。韓国人の道徳観はどこへ行ったのかと憂鬱になります」
曺元法相の「祖国革新党」のコアな支持層は40~50代だ。50代後半の知り合いは先日、高校時代の友人と曺元法相を巡り口論になったという。
「誰を支持するのも自由ですが、犯罪者が国会議員になっては絶対にいけないでしょう。そんな話をしていたら友人が激昂しました。『曺元法相の何が悪い、子供のためなら文書くらい偽造するだろう、みんなやっていることじゃないか』と言うんです。わたしたち50代は大学時代に軍事独裁政権を体験した世代ですから、そのときに民主化運動をした理想を今も持っていたり、逆に運動に参加しなかった負い目を感じている者も多い。こと政治の話になると、保守派に対して無条件に厳しくなる」