今回の選挙では、新党を立ち上げた曺元法相だけでなく、野党「共に民主党」の李在明代表も、城南市長と京畿道知事時代の都市開発疑惑などについて、背任など9つの容疑で起訴されており、複数の裁判を抱える身だ。裁判所から選挙演説に直行する様子をYouTubeで実況中継するという、なんともニューノーマルな選挙戦が行われている。
それにしても、道徳に厳しい韓国でなぜ党首が不正疑惑を抱えている野党勢力が支持されるのだろうか。世論調査の関係者は「尹大統領の人気のなさに尽きます」と解説する。
「尹大統領への支持率は就任直後には50%台でスタートしましたが、その後一度もそれを超えたことがありません。『祖国革新党』の立ち上げ時期も絶妙でした。ちょうど野党『共に民主党』が公認トラブルで非難を浴びていた頃で、尹大統領も嫌いだけど野党にも嫌気がさした、という人々の支持を集めました。その後に、大統領府の問題発言や、尹大統領の軽率な人事任命への反発も重なりました。尹政権に警告を与えようと考える人々の間で『祖国革新党』の『政権審判』に支持が集まっている形です」
金建希夫人が30万円以上のディオールのバッグを受け取る映像が…
尹大統領の支持率は、就任時を除いて30%台の低空飛行を続けている。
今年に入り医師不足解消のための医療改革を発表して支持率が若干上向いたが、医師の反発により混乱が長引き、むしろ逆風となっている。
さらに大統領府では秘書官がメディアを脅すような発言で問題になり、軍の不祥事を隠蔽しようとした疑いで捜査を受けていた元国防相をオーストラリア大使に電撃的に任命して猛非難を浴びたこともある。医療改革でせっかく上向いた支持率もここから再び下降している。
ただ、尹大統領への不人気ぶりは今に始まったことではない。検察時代の同僚や後輩、同窓生を重用する“お友だち人事”は批判の的だったし、2022年に金建希夫人が同郷の牧師からブランドバッグを受け取っていたことも大騒ぎになった。
韓国では公職にある人間やその配偶者が職務と関連して高額(約11万円以上)の物品を授受することが禁止されており、牧師が金建希夫人に渡した「クリスチャンディオール」のバッグは30万円相当の高級品だった。