ノンフィクション作家の菅野久美子氏は、地元の小学校でいじめを受け、私立の中学校に進学した。ところが、その私立中でもいじめを受け、1年で退学することになる。なぜ自分だけがこんな目に遭うのか。心身ともに追い込まれた少女がその時とった行動とは――。

※本稿は、菅野久美子『母を捨てる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

仲間外れゲームでスクールカースト最底辺に

中学に入学してしばらく経ったあるとき、私はクラスの女子から突然、仲間外れにされた。多分、中学に入ってからも、やっぱり私は浮いていたのだと思う。何がきっかけだったか、今となってはわからない。しかし、小学校時代と変わらず中学時代もリーダー格の女子がいて、すべてをコントロールしていたことは、確かに覚えている。

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とにかく私はその女子の一声によって、ある日を境にグループから無視され、罵声を浴びせられ、孤立するようになった。しかし、ヘンな話だが、私はいじめにはやっぱり慣れていた。小学校のいじめでほとほと通り抜けてきたパターンだったからだ。

けれどもその後のパターンは、一辺倒ではなかった。

クラスにはもう一人、私と同じく浮いている女子がいた。その子は根暗な私とは、まったく真逆なタイプだった。歌がうまくて、歌手を目指していたその子は、何よりも容姿が飛びぬけて可愛らしかった。それが女子のリーダーにとって気に食わなかったのだと思う。

私はその子と、交互に仲間外れにされるようになった。いわば「仲間外れ」ゲームだ。今日までは「人間」だったのに、翌日には「奴隷」の扱いになる。そして、私が「人間」になれば、その子は「奴隷」になる。その子が「奴隷」になれば、私は「人間」になって、グループの仲間に戻ることが許される。その繰り返しだ。

「人間」になれれば、グループの女子たちとも今までどおり喋ることができるし、お昼のお弁当の輪の中にも入れてもらえる。しかし、翌日登校すると、突然クラスの全員から口もきいてもらえなくなる。スクールカーストをジェットコースターのように行き来させられる日常。それは、私を奈落の底に突き落とした。