1ページ目から読む
2/6ページ目

ひとけのない駅舎を抜けると正面に…

 ひとけのない駅舎を抜けると、小さな駅前広場に出る。正面には、「日本一ちっちゃな舟橋村」の文字。舟橋村の面積は3.47平方キロメートル。これは、文字通り日本国内の市町村では最も狭いのだという。

 

 ちなみに、お隣の富山市は富山県内のうち30%ほどを占める広大な面積を持ち、全国の市町村の中でも11番目にデカい。とてつもなく大きな町ととてつもなく小さな町が、隣り合っているのだ。

 越中舟橋駅の駅前には、郵便局や小さな商店がいくつかあるくらい。少し歩くと、県道4号線に出る。トラックをはじめ、多くのクルマが絶え間なく行き交っており、この地域一帯のメインルートになっているのだろう。

ADVERTISEMENT

 駅前から県道4号線に通じる角には、古代この地を治めた豪族の古墳をそのまま活かした神明社。県道の北側の向こうには、北陸新幹線の高架も見える。

 

県道沿いを歩く。実は「富山駅まで15分」の近さ

 県道沿いを少し歩く。さすがに交通量に比して、県道の周りには小さな市街地が形成されている。比較的真新しい戸建て住宅が集まっているゾーンもある。富山駅まで15分という近さは、ベッドタウンとしても利便性が高いのだろう。

 ただ、県道から離れて踏切を渡り、富山地鉄の線路の南側に出ると、風景は田園地帯に変わる。むしろこちら側の方が、舟橋村の本領なのだろう。まだ田植えの時期を迎えていない北陸の田んぼ。その奥には、いくつかの工場も見える。

 富山県は北陸三県の中でも指折りの工業県だ。富山市街だけでなく、郊外にもこうした内陸工業団地のようなものがあるあたりは、いかにも工業県らしい風景といっていい。

 ただし、舟橋村は実に小さな村である。だから、少し歩くだけで村外に出てしまう。田んぼの向こうの工場が舟橋村の中なのか、それとも外なのかはよくわからない。

 広がる田んぼ、そしてその中にいくつかの住宅がまとまっている住宅ゾーン、そしてまた田園地帯。そんな風景の中を歩く。