富山は、路面電車の町だ。

 東京から北陸新幹線に乗って、その路線名の通りの北陸の地にやってきて、最初に迎える県都のターミナルは富山駅である。最速達の「かがやき」ならば、長野駅の次が富山駅。そのあとは金沢駅で、今年3月に延伸した区間でも停車駅は福井、敦賀。だから、富山駅は押しも押されもせぬ北陸新幹線の主要ターミナルのひとつといっていい。

 しかし、同じ北陸三県の県都、金沢や福井と比べてみると、どうだ。申し訳ないけれど、どことなく地味な印象が拭えない。もっといえば、金沢といったら加賀百万石に兼六園や21世紀美術館、福井ならば恐竜など、訪れたことがない人でもピンとくるものがある。

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  なのに、富山はやはりどうだろう。ホタルイカや白エビが、などとグルメを持ち出せば金沢や福井も負けてはいないし、立山連峰などもあるにはあるが富山駅からはだいぶ離れた山の奥。

 たびたび富山を訪れたことがある人ならばともかく、縁がない人にとってはどうしたって地味な印象が拭えない。富山駅は、そんな町のターミナルなのだ。

金沢でも福井でもない…北陸新幹線“どことなく地味なターミナル”「富山」には何がある?
今回の路線図。約40万人で、北陸では金沢市に次ぐ人口を抱える大きな都市「富山」

 が、本当に何もない町なんてあるはずもない。富山市の人口は約40万人で、北陸では金沢市に次ぐ人口を抱える大きな都市だ。富山平野のど真ん中。東に常願寺川、西に神通川という大河が流れ、北には富山湾。天気が良ければ立山連峰を望むこともできる。そんな富山の県都は、いったいどんな町なのだろうか。

金沢でも福井でもない…北陸新幹線“どことなく地味なターミナル”「富山」には何がある?

 そう思って、富山駅で新幹線を降りたらまず目に入ってきたのが、路面電車なのである。

 

 富山市の中心部には、駅の北側にも南側にも路面電車が走っている。北と南の間には富山駅が横たわっているが、路面電車は富山駅の高架下に乗り入れて、そこにのりばを持つ。

 つまり、新幹線(在来線も)の改札口を抜けると、南北をつなぐ自由通路を直進してそのまま路面電車に乗ることができる、というわけだ。