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小川紗良(以下、小川) 台湾は大好きな場所で、台湾映画もホウ・シャオシェン監督作品をはじめたくさん観ていますし、初めてひとりで海外に行ったのも台湾だったんです。『金魚の記憶』を観て、また台湾に行きたくなりました。

左から小川紗良さん、チェン・ホンイー監督 ©文藝春秋

 
リム・カーワイ(以下、リム) 今まで台北を舞台に映画を作ってきたチェン監督が、今回初めて高雄(台湾南部の大都市)で撮ったんですよね。

チェン・ホンイー(以下、チェン) ええ。私は高雄に生まれ育って、大学に入る時に台北に行ったわけですが、初めて故郷で映画を撮ることができて、とても幸せでした。

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小川 高雄の実際に人がたくさん住んでいる、日本の団地のような大きなアパートと、富裕層の男性が住む高級なマンションの対比が目を引きました。

きっかけは香港の若者たちの戦いだった

チェン 実は、この作品をつくるきっかけは、香港の若者たちだったんです。彼らは(民主化デモで)中国当局や警察権力に果敢に立ち向かった。そういう若者たちを見て、世代間の衝突をテーマにしたいと思ったんです。そこで金持ちの中年男性と貧乏な若者、その彼女という3人を設定したわけです。

リム キャスティングはどんなふうにされましたか。

リム・カーワイ監督 ©文藝春秋

チェン (性的なシーンがあるので)主要な3人は勇気が必要な役柄です。2つ条件があって、裸になれることと、3Pのシーンがあるので、それに挑める人というものでした。撮影に入る2カ月前から互いの呼吸を合わせるための準備期間を設けました。

小川 とても素晴らしいキャスティングでした。たとえば3人のうちの女の子は、心に穴が開いているというのがよく伝わってきました。