チェン 役者とコミュニケーションを重ねましたし、性的なシーンについては専門家を招いて指導を受けました。一番難しかったのは、やはり3人が一緒に性的な関係を持つシーンでした。最終的には行為の動作ひとつひとつを細かく指示して、演じてもらいました。
他の国の映画にはない台湾映画の魅力
リム 台湾映画の魅力はどういうところにあると感じますか。
小川 台湾映画はなぜか懐かしさを感じますよね。けれどよく観ていくと、違いも見えてきて、社会の状況だったり歴史的な背景があって、そこには日本がかかわる複雑な部分もある。
入り口が親しみやすくて、そこから違いに踏み込んでいけるのが他の国の映画にはない台湾映画の魅力だと思います。
チェン 中華圏で表現の自由が最も担保されているのが台湾映画だと思います。
近年は香港の映画人もよく台湾に映画を撮りに来ています。自由な表現ができる映画作りができますし、台湾政府も映画作りをサポートしてくれる環境があります。そこが他の国、地域と比べて優れたところではないかと思っています。
チェン・ホンイー 1967年台湾生まれ。国立台湾大学哲学科卒業。CMやMVを数多く手がけた後、2008年に映画監督デビュー。日本でも公開された『台北セブンラブ』は、大都市の建築事務所に勤める男女の恋愛模様を描いたスタイリッシュな群像劇。
おがわ さら 俳優としてNHK『まんぷく』等に出演。初監督作『海辺の金魚』は全州国際映画祭に出品され、自ら小説化も手がけた。現在、J-WAVE「ACROSS THE SKY」(日曜午前9時~12時)でナビゲーターを務めている。