20年ほど前、渋谷のシネマライズで、新海誠監督の『雲のむこう、約束の場所』を見ました。当時、角川書店(現・KADOKAWA)から、作品のノベライズを書かないかと打診されて、まず見てみようと映画館へ行ったのでした。
「この人は売れっ子になりますよ」
上映期間は今の新海作品では考えられないほど短く、平日の昼間だったこともあり観客はほとんどいませんでしたが、バイオリンの音が印象的で、草原や空の広さと光の描写が美しい作品でした。
いっしょに行った編集者と「この人は売れっ子になりますよ」とか、未来を知るよしもなく、のん気に盛り上がったことを覚えています。