かつて拡大手術が積極的に行われた胃がんだが、現在は傷を小さくして胃の機能も残す流れになっている。ただし、腹腔鏡手術が普及したとはいえ、技術格差があるのも事実だ。どのような点に注意して胃がん手術を受ければいいのか、考え方をまとめた。

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 かつて胃がんは、日本人に一番多いがんだった。欧米では少なく、日本、韓国、中国に多いため「東アジアの風土病」とまで呼ばれた。

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 だが、日本では1970年頃から減り続け、現在は罹患数、死亡数とも肺がん、大腸がんに次ぐ第3位となった。ただし国立がん研究センターの予測では2016年の罹患者数は13万3900人、死亡者数は4万8500人とされており、まだ患者数はかなり多い。

 患者減少の理由の一つとされているのが、胃がんの原因とされる「ピロリ菌(正式にはヘリコバクター・ピロリと呼ばれるバクテリア)」の感染が減ったことだ。かつてピロリ菌は、井戸水などを介して感染が広がった。しかし、上下水道が整備された結果、現在では若い人ほど感染率が下がった。それゆえ、今後患者数はさらに減ると予測されている。

 とはいえ70歳以上の人では、今も感染率は8割に及ぶとされる。それだけに高齢の人やピロリ菌の感染者は注意してほしい。ピロリ菌によって炎症が起き、胃粘膜が萎縮するほど胃がんリスクが上がることがわかっているからだ。この状態を調べる検査も医療機関の他、一部の自治体、企業の検診に採り入れられている。いわゆる胃がんの「ABC評価」と呼ばれる検査だ。ピロリ菌感染がなく胃粘膜の萎縮もない人はA、感染のみの人はB、感染と萎縮のある人はC、ピロリ菌が住めないほど萎縮が進んだ人はDとなる。これまでの研究から胃がん発生リスクはAに比べBで約5倍、Cで約10倍、Dで約15倍高いことがわかっている。

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 A評価の人も胃がんのリスクはゼロではないが、かなり低いので、一度だけ内視鏡検査で粘膜の状態を調べれば、症状がない限り以後は検査を受ける必要はないだろう。だが、BからD評価の人は胃がんリスクが高いので、定期的に胃の内視鏡検査を受けることをおすすめしたい。