急遽、撮影が休みの日にインディアナへ
浅野 まだまだ続きがあるんです。『マイティ・ソー』で僕が演じたのは、クリス・ヘムズワースが演じた主人公ソーの強い味方となる三銃士の1人です。ある日、別の1人が突然クビになって代わりにジョシュア・ダラスという俳優がやってきた。ジョシュアはインディアナ州の出身で、事情を話すと、その墓地なら彼が通っていた高校の真ん前だという。すぐにお母さんに電話してくれて、お母さんが祖父のお墓の写真を撮って送ってくれたんですよ。
内田 浅野さんって知り合った人が何かしら手がかりを持っていて、次々に手を貸してくれるんですね。
浅野 お陰で、撮影が休みの日に急遽、インディアナに飛んで、祖父のお墓参りができました。祖父が最後に住んでいた家の住所もわかったので訪ねてみたのですが、赤の他人が住んでいた。
続いて出演した『バトルシップ』でついてくれた通訳が、「アンセストリー・ドットコム」という先祖を調べられるサイトがあることを教えてくれたんです。検索するとあっという間に祖父は8人兄弟だということがわかりました。ここまで調べ上げたところで『ファミリーヒストリー』の話が来たので、こんな情報がありますよとお渡しし、それ以上の調査は番組に託しました。
ネイティブ・アメリカンの血はまったく入っていなかった
内田 ご先祖はネイティブ・アメリカンではなかったんですよね。
浅野 曾祖父はオランダからの移民、曾祖母はノルウェーからの移民でした。
内田 北欧系だったんですね。
浅野 祖父が生まれ育ったのは移民が多い地域で、ネイティブ・アメリカンが住む地域に近かったんです。祖父と祖母はお互いにカタコトの日本語、英語で話していただろうから、おそらく「インディアンをよく見かけたよ」というような話を祖母は聞き間違えたんでしょうね。
僕はネイティブ・アメリカンの本を読み漁り、僕と同じスピリットだと感動していたんですけどね。映画『モンゴル』でチンギス・ハーンをやるときも、セルゲイ・ボドロフ監督に「僕にはネイティブの血が入っているから彼の気持ちはわかります」なんてガンガン熱くアピールしていたのに、実はまったく入っていなかったとは。
内田 (笑)。
浅野 『マイティ・ソー』は北欧神話に登場するバイキングの話がベースになっているんですよ。なんだ、こっちだったのか(笑)。
内田 お祖父様が浅野さんをハリウッドに導いてヒントを出してくれていたような。浅野さんは気がつかなかったけど。
浅野 そう思いたくなりますよね。もしかしたら僕が受け継いでいるのはバイキングの血なのかも(笑)。