角川映画『メイン・テーマ』のオーディションで薬師丸ひろ子の相手役に選ばれてデビューし、ドラマ『教師びんびん物語』で大ブレイクを果たした俳優・野村宏伸(59)。
今年でデビュー40周年を迎える彼に、『メイン・テーマ』撮影時の様子、憧れの存在だった松田優作との出会いと交流、『教師びんびん物語』をはじめとする『びんびん』シリーズへの出演経緯などについて、話を聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く)
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松田優作さんの立ち姿を見て鳥肌が立ちまくり
――『メイン・テーマ』の撮影中に松田優作さんと会ったとのことですが、どういったシチュエーションで?
野村宏伸(以下、野村) ジャズ・シンガーの役で、(桃井)かおりさんが、出ていたじゃないですか。日活のスタジオにジャズ・クラブのセットを組んで、かおりさんが歌っているシーンを撮ったんです。
で、ふと見たら優作さんがスタジオの隅に立っているんですよ。かおりさんと優作さんは仲が良かったので、スタジオに見に来たんじゃないですかね。こっちは「ヤッバ!」ですよ。松田優作さんが立っている姿は、いまだに鮮明に覚えているというか、鳥肌が立ちまくりましたからね。
ほんと、(薬師丸)ひろ子ちゃん、かおりさんと会っても緊張しなかったし、色めき立つこともなかったんですよ。でも、優作さんは全身の電気が走ったというか。
学校へ行ったら、みんなが教室に覗きに来て…
――なにか交流は。
野村 撮影が終わったら、飲みに連れて行ってくれて。その後も何回か。『メイン・テーマ』の完成披露の後にも、優作さん、かおりさん、監督の森田(芳光)さんと飲みましたね。
下北沢にレディ・ジェーンって、優作さんが通ってた有名なバーがあるじゃないですか。そこに連れて行ってもらったりして、そういう思い出は、すごい宝物ですね。
優作さんが監督と主演を務めた『ア・ホーマンス』(1986年)の現場を見学させてもらったり、優作さんにはすごくかわいがってもらいましたね。
――松田さんとは、どんな話を。
野村 映画の話が多かったかな。でも、優作さんは歌舞伎とかいろんなものを観ていてね。「こういうのが良かった」とか、そういった話を「ああ、そうなんですね」って聞いてる感じ。あんまり、ベラベラしゃべる人じゃないんでね。
ほんと、ずっといてほしかったですよね。共演もしたかったし。会えて話せたってだけでも、すごいことですけどね。
――角川映画に出演、相手は薬師丸ひろ子となると、学校でも大騒ぎでしたでしょうね。
野村 新聞に載ったりして、ニュースにもなったんでね。学校へ行ったら、みんなが教室に覗きに来ましたよ。1年生、2年生も集まって、「誰? 誰?」「あの人?」みたいな。