東海道新幹線と山陽新幹線の大きな違いのひとつは、トンネルの数だ。
それは、東海道から山陽に直通する「のぞみ」にでも乗ってみればよくわかる。それまでは車窓を楽しめる時間も多かったのに、山陽新幹線に入ったとたんにトンネルだらけ。
新大阪駅から山陽新幹線になって最初の駅である新神戸駅からしても、両脇をトンネルに挟まれた駅だ。山陽新幹線、なんとおよそ半分ほどがトンネルなのだとか。
どうして山陽新幹線は「トンネルだらけ」?
なぜ山陽新幹線にはトンネルが多いのか。これは、東海道新幹線の反省を活かしたからだという。速く走るためには、カーブが少なければ少ないほうがいい。
その点、東海道新幹線はいささかカーブが多すぎた。そこで、山陽新幹線ではトンネルを多用してできるだけ一直線に駆け抜けられるようにした、というわけだ。
もちろんそれはその通りなのだろう。だが、それ以外に地形的な要因もあるのではないかと思っている。
地図を見れば一目瞭然、東海道新幹線は関東平野・濃尾平野・大阪平野という広大な平野部を走る。ところが、山陽新幹線はそれほど大きな平野部を通らない。中国地方は瀬戸内海の際まで山地が迫っているところが多く、おかげで新幹線の駅は、海と山に挟まれた小さな平地部にぎゅっと押し込められているのだ。
そうした山陽新幹線らしさを象徴するような駅のひとつが、今回やってきた三原駅である。
山陽新幹線「のぞみ」“ナゾの通過駅”「三原」には何がある?
三原駅があるのは、広島県の東部だ。観光都市にしてしまなみ海道のはじまりの地でもある尾道がすぐお隣。三原駅には新幹線に加えて在来の山陽本線、瀬戸内海沿いを走る呉線が乗り入れており、交通の要衝という一面も持つ。
そんな三原駅にやってきて、高架の新幹線ホームからあたりを見渡すと、まず気になることがある。新幹線の高架にぴたりとへばりつく、というよりは、ホームの方がそれに食い込むように古めかしい石垣があるということだ。
その周りには、お堀とおぼしき水面も見える。これは、どういうことなのだろうか。というわけで、まずはその石垣を目指すことにする。