瀬戸内海には、たくさんの島がある。世界遺産の神社があったりウサギが暮らしていたり、大石先生と十二人の子どもたちがいたり。大小あわせて約700もの島があるというから、島の個性もさまざまだ。もちろん、無人島だってたくさんある。
そして、無人島とまでは行かなくても、住んでいる人が減ってしまって無人島寸前、観光地としてもさしたる知名度を持たず……というような名もなき小さな島もまた、たくさんあるに違いない。
そんな島のひとつが、三原という広島県東部の町の沖合に浮かんでいるという。その名も「小佐木島」。聞けば、小佐木島の人口はいまのところたったの5人。そのうち4人が90代以上だというから、文字通りの限界集落といっていい。いったいこの島は、どんな島なのだろうか。
“ナゾの瀬戸内の島”「小佐木島」には何がある?
小佐木島に……というか、小佐木島に限らず島に向かう手段はだいたいにおいて船である。
同じような限界集落でも、本州の山の中ならば道路さえ通っていればなんとでもなる。が、島の場合は本土から直接橋が架かっていない限りは、定期航路が生命線になる。だから、たった5人しか住んでいない小佐木島にも毎日船がやってくる。
小佐木島に向かう船は、新幹線の三原駅からほど近い三原港から出ている。船に乗ったらものの15分ほどで小佐木島に着く。
こう書くと、ずいぶんと便利じゃないかと思うかもしれない。確かに、三原港と三原駅は歩いても5分ほどだから、小佐木島から新幹線まで30分もかからない、ということになる。それだけ取りあげれば、とてつもなく便利だ。これほど便利な島は、瀬戸内海700の島々の中でも小佐木島くらいではないかと思う。