意外と“近い”?「しかし、問題は船の便数だ」
しかし、問題は船の便数だ。これがまた、山間部を走るローカル線並みに少ない。
三原発が1日に4便、逆に小佐木島から帰ってくる便が1日に3便。それも三原~小佐木島間だけの便ではなく、近年観光地として知られるようになった瀬戸田までの航路の途中に立ち寄るだけだ。もしも夕方の最終便を逃したら、次の日の朝まで小佐木島に取り残されてしまう……などと考えると、離島の旅も空恐ろしくなってくる。
ともあれ、気を取り直して船に乗り、ほんとうに15分しないうちに小佐木島の小さな波止場に着いた。その波止場、ちょっとした待合の小屋があるだけで、他にはまったくといっていいほど何もない。
「1周徒歩30分もない島」にはスーパーもコンビニも自動販売機もなく…
波止場のすぐ先には民家が集まっている小集落がある。この集落の中を歩いても、ものの5分でひとまわり。さらに、島の外周をぐるりと取り囲む道を歩いたところで、これまた30分もあれば波止場まで戻ってきてしまう。
つまり、小佐木島はとても小さくて、そしてまったく何もない。面積を調べてみたら0.5平方キロメートルほどに過ぎない。スーパーもなければコンビニもないし、自動販売機すらない。
あるものといったら、外周道路のど真ん中にこんもりと蓄えられた野生動物の糞くらい。そりゃあもう、これほどの島なのだから、野生動物だっているだろう。糞の主はタヌキかイノシシか。さすがに瀬戸内海にクマはいないだろうから、その点はちょっぴり安心である。
こんな何もない小佐木島。けれど、小集落の中にはちゃんと整備された畑があるし、携帯電話の電波も届く。住んでいる人がいるのだから当たり前だが、インフラはきちんと整っている。
とてつもなく不便そうに思えても、船に乗ったら三原の市街地にすぐに着くのだから、渋滞&満員電車まみれの大都市近郊と比べても実はけっこう便利な場所なのかもしれない。