6/6ページ目
この記事を1ページ目から読む
“海の向こう”との関係で浮かび上がる「瀬戸内の島」
小佐木島の波止場に立って、海を見る。向こう側には小佐木島の数倍はある佐木島が浮かぶ。小佐木島の子どもたちは、船で佐木島の小学校に通っていたという。そして、中学・高校と進学すると本土の学校へ。毎日船で通うのが大変だとなれば、少しずつ島から去ってしまい、住民が減っていった。
観光客が大挙してやってくるような島ではない。何があるのか、と問われれば、何もない。でも、そこに価値がある。こうした島が紡いできた歴史と文化を守り、つないでゆく。すぐに結果は出なくても、地道な一歩を刻んでいくことが大切なのだろう。少なくとも、小佐木島にはそれだけの魅力がある。遠く、都会に暮らす人たちが「瀬戸内の島」と言われてイメージするままの小さな島である。

◆◆◆
「文春オンライン」スタートから続く人気鉄道・紀行連載がいよいよ書籍化!
250駅以上訪ねてきた著者の「いま絶対に読みたい30駅」には何がある? 名前はよく聞くけれど、降りたことはない通勤電車の終着駅。どの駅も小1時間ほど歩いていれば、「埋もれていた日本の150年」がそれぞれの角度で見えてくる——。
定期代+数百円の小旅行が詰まった、“つい乗り過ごしたくなる”1冊。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。