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瀬戸内の“ナゾの人口5人の島”「小佐木島」には何がある?〈新幹線駅から約30分、船は1日3~4本…〉

中国地方“海の見える町”#2

2024/06/24
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「ローカルの課題は、突き詰めればどこも一緒」避けられない人口減少の中でカギは…

 こうした取り組みの仕掛け人のひとりが、JR西日本の内藤真也さん。「地域共創ゼネラリスト」の肩書きを持ち、瀬戸田の活性化にも一役買うなど、JR西日本の鉄道沿線以外にも範囲を広げて地域に入り込んだ活性化に力を注いでいる。

「ローカルの課題というのは、突き詰めればどこも一緒なんです。人が減って、賑わいが減って、どうにもならなくなってしまう。ただ、小佐木島もそうですが、人口を増やすことは現実的ではないところも多い。だから、住民を増やすというよりは、関係人口を増やしていくことができれば」(内藤さん)

©鼠入昌史

 実際、JR西日本は三原市・竹原市・尾道市と関係人口増加に向けた協定を締結している。人口の減少が避けられない中で、少しでも地域の賑わいを維持し、活気をもたらすためには、他の地域との間での人の動きが欠かせない。「住もうとは思わなくても、少しでも興味関心を持ってくれる人が増えれば意味がある」(内藤さん)という。

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 そこで、マンションデベロッパーであるグループ会社のJR西日本プロパティーズや三原市、また三原市の観光事業を担う株式会社空・道・港などとともに、小佐木島での交流イベントを実施したのだ。昨年には広島県北部の山間地、庄原市内でも同様のイベントを企画し、成功を収めている。コンセプトは、「第2のふるさとづくり」。

©JR西日本プロパティーズ

「都市部に住んでいると、どうしても有名な観光地に行くばかりになってしまうんですよね。でも、日本のほとんどはそうじゃないところ。だからこそ、何のことはない民家の宿に泊まって地元の農家さんのお手伝いをするとか、そういう体験には価値がある。子どもたちにとっても良い学びになると思います。

 そして、地元の人たちと交流を深めてもらう。最終的には、ぼくらが仲立ちしないで直接連絡を取り合って遊びに行ける関係になってくれたら、理想だなと思っています」(内藤さん)