10年勤めた警察官をやめ、青年海外協力隊として世界最貧国のひとつであるアフリカのマラウイに赴任。現地で出会った子持ち女性のジェニーさんと国際結婚したコガさんは、アフリカでステップファーザーとなった。
そして昨年、家族で日本に移住したコガさんは、夫婦でキッチンカーを出店するなど、大きな変化があったと言う。マラウイとの生活の違いを、改めて聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
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日本に帰国してアフリカ料理のキッチンカーで起業
――マラウイ人の妻ジェニーさんと彼女の連れ子のリオンくん、そして2年前に生まれたショウジくんの4人家族で日本に移住し、1年が経ちました。生活にどんな変化がありましたか。
コガさん(以降、コガ) 最初は私1人で帰国したのですが、家族をすぐ呼び寄せたくても無職だとビザが取りにくいので、すぐに自動車工場の派遣に登録していました。
その後、家族も無事に来日し、派遣の更新時期になったとき、妻のジェニーと一緒にアフリカ料理のキッチンカーを出そうということになり、派遣社員はやめました。
――キッチンカーで起業されたんですね。キッチンカーをはじめようと思ったきっかけは?
コガ マラウイにいたときから現地のご飯を動画でアップしていたのですが、主食の「シマ」に対する反響が大きかったんですね。その中で、「一度食べてみたい」という声も多かったため、ジェニーと「日本に行ったらアフリカ料理を皆に知ってもらいたいね」とずっと話してたんです。
そこで、飲食店よりもハードルの低いキッチンカーだったらなんとかなるかも、ということではじめました。
「初めての食感」と反響が大きかった「シマ」
――反響の大きかった「シマ」はどんな料理?
コガ マラウイの主食で、トウモロコシの粉を練ったものです。これに、チキンのトマト煮のセットがマラウイ定番のご飯で、肉は牛肉、ヤギ肉に変わることもあります。キッチンカーでも、このセットにサラダをつけたものをメインメニューとして提供しています。
――お客さんのシマへの反応はどうですか。
コガ 皆さん言われるのは、「初めての食感」ですね。反応としては半々、いや、半々よりちょっとシマを残される方が多いですね。でも、正直それは予想していて。
――コガさんもあまりシマは食べない?
コガ 最初にボランティアでマラウイに行っていたとき、日本人のコミュニティでシマが好きという人は3割ぐらいで、あとの半分以上は、シマはめったに食べない人が多かったんです。好きな人は本当に好きで毎日食べていた人もいて、私もそっち派でした。
シマは主食なのでご飯と一緒で味付けなどはせず、ほんのりトウモロコシの甘みがします。