川沿いの谷間の高架の駅、いざホームから下りていくと…

 横浜という都市は、380万人もの人々がひしめき合って暮らしているというのにもかかわらず、平坦地が実に少ない。丘陵地が海の近くまで迫ってきていて、住宅地のほとんどはそうした高台の丘陵を切り開いたところに広がっている。

 それでも鉄道は簡単に丘陵を登ったり下りたりできるわけでもない。そのため、横浜の鉄道は小さな川沿いを選ぶようにして線路が敷かれているのだ。京急線もまさにそのひとつで、大岡川沿いを走って横浜市南部から三浦半島を目指す。上大岡駅は、そうした大岡川沿いの谷間にある駅である。

 上大岡の駅そのものは、何の変哲もない高架の駅だ。ホームから階下に下りると、そのまま駅ビルに直結している。

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「ゆめおおおか」と名付けられた巨大な駅ビルで、商業施設はもちろんのこと、バスターミナルからオフィスまで、ありとあらゆるものが集まる。もちろん京急系列の駅ビルであって、つまりは上大岡という駅とその町は、まるで京急の城のような威容を持って訪問者を出迎えてくれるのである。渋谷が東急、二俣川が相鉄、そして京急が上大岡……。

駅ビルから外へ。まずは駅名にもなっている大岡川を見にいこう

 仮にも副都心の中核たるターミナルが、巨大な駅ビルだけで成り立っているはずもない。なので、駅の外に出てみれば、実に活気に満ちた、大都市らしい光景が広がっていた。

 

 川沿いを南北に走る京急線の西側には県道21号線、交通量に恵まれた大通りが通る。ちょうどその地下には地下鉄が走っているのだろう。大通りを渡った駅の向かいにも、いくつもの大型商業施設が建ち並ぶ。

 
 

 つまり、大岡川が作った河谷に京急の線路と大きな道が南北に通り、そこに商業ビルがひしめくというのが、副都心・上大岡の姿なのだ。

 ドトールコーヒーとミスタードーナツの看板が色鮮やかな、通りの向こうの「カミオ」という商業ビルの脇には、さらに西に向かうアーケードの商店街が延びている。

 
 

 パサージュ上大岡という名の商店街で、このアーケードを歩いて抜ければ大岡川だ。大岡川沿いの上大岡の町なのだから、大岡川を見なければ話は始まらない。