ハリウッド的なエンタメ作品とヨーロッパ的なアートフィルムはどちらも映画として正しい。両者のせめぎ合いが常に自分の中にある――日本映画界の「青春時代」をたどるインタビューシリーズ第3弾。(全4回の2回目/#1、#3、#4を読む)
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アートフィルムとして作った『UNK』
―― 『FANTASTIC★PARTY』の後、3年になってからは映研から離れて、個人的な映画作りを始めましたね。
手塚 うちのサークルのルールが、3年に上がったら受験勉強もあるし、あとは2年生に譲るというもので。だから、次の年は小中さんたちの代に任せました。ぴあ(ぴあフィルムフェスティバル=PFF)に出した『UNK』という短編があるんですけど、実は『FANTASTIC★PARTY』よりも前に作り始めていたんです。途中までちょっと特撮とかを撮って、中断して『FANTASTIC★PARTY』に入っていた。個人で何か表現したいという気持ちは元から強かったんです。
―― 個人で作る時は全部1人でやる感じですよね。
手塚 基本は1人で。出演者は必要になるので、同じ学校の中で身近にいる人に出てもらって。『UNK』は本当に漠然としたイメージから始まって、明確な1本のストーリーを作らないでイメージで作っていって、最後まで脚本はほとんどなかったんですね。ザックリとした構成だけあって、撮りながら考えていくとか、撮った後に編集でどうするか考える。これは今に至る自分のアートフィルムと全く変わらない。即興的に撮ったものを編集で映画にするという、そういうやり方です。『UNK』はUFOの映画ですね。つい最近、その頃のことを書き留めたノートが出てきて。
―― 書き留めていたんですね。
手塚 それを読んだら、『未知との遭遇』を見る前に作り始めていますね。
―― そうなんですか。
手塚 空飛ぶ円盤が踏切待ちをしたらという、まるで『未知との遭遇』を見たかのようなことを考えて、それで『未知との遭遇』を見にいったら、仰天したと書いてあるんです。だったら『未知との遭遇』に対するオマージュだな、みたいになっていくんですけど。最初は男の人がUFOに追いかけられてみたいなことを考えていたんだけど、『FANTASTIC★PARTY』というドラマを作ったから、ドラマではないやり方にしよう、イメージ的に作っていこうということで、女性に変えて、山本奈津子(注1)さんに出てもらって。
ハリウッド的な、スピルバーグ的な演出のものと、ヨーロッパのアートフィルム。これは自分の中でせめぎ合いが常にあるんですよ。どうやったら融合できるのかなと自分の中で思っているんです。どっちも自分の中では映画的に正しいと。一緒になるとどうなるんだろうという感じなんですよね。
―― 確かに『UNK』には両方の匂いがありますよね。