また、旧民主党時代の蓮舫さんによる事業仕分けと、そこでの名言「2位じゃダメなんですか」がいまだ有権者にとって鮮烈なイメージとして残ってしまっていました。もちろん、意味としては蓮舫さんは良いことを言っているのですが、有権者からすると相手を名指しで、指を突き付け批判する蓮舫さんの人物像を嫌悪している面があります。いわば、寛容ではない雰囲気が、有権者には感じ取れたのでしょう。
結果として、告示後の情勢調査では、本来ならば蓮舫さんが万雷の拍手と共に蓮舫支持票になるはずだった無党派層・支持政党なしの都民有権者を、男性でほぼ2倍、女性で3倍以上小池さんに奪われてしまうという結論になったのです。
他方、蓮舫さんの今回の都知事選で岩盤支持を示した層は、70代以上の男女でした。これは蓮舫さんが立憲民主党を離党し無所属として立候補するにあたり、立憲と共産党とで担いだことの余波とも見られますが、実は立憲支持、共産支持であるはずの女性有権者が、ほぼ4割、小池百合子さんに流れていってしまっています。
あろうことか、立憲や共産支持層の女性のなんと4割が、小池百合子さんに投票してしまったのは、さすがにびっくりでして…。政党支持してくれている有権者の4割も相手陣営に流れるって、相当な不人気ですよ、これは。さすがにこれでは、蓮舫さんが勝てるはずがないのです。また、別の定例調査では、東京都での立憲支持層は約16%、共産党は8%から9%ほどと見られます。しかし、今回投票所にやってきた立憲支持層は10%、共産は4%と、かなりの立憲共産支持層が蓮舫さんに投票しないどころかそもそも投票所に来ませんでした。
つまり、立憲や共産の党本部の偉い人からすれば、蓮舫さんこそ勝てる候補と見込んで、英断を促し都知事選に担ぎ出してみたら、本来味方の支持者であるはずの立憲・共産の両支持層がぐっすり寝てしまい、投票所にすら来なかったことになります。
選挙期間中、あまりにもパネル調査の結果が悪かったのを知った立憲民主党の幹部の人たちが何度も電話をかけてこられまして、これはどうしたらいいのか、困っているという話をされましたが、時すでに遅し。私に言われてもねえ…。
蓮舫さんが繰り返した、大規模な街頭演説に意味はあったか
結論から言えば、すでに蓮舫さんを支持している人がターミナル駅にガバッと集まって5,000人、1万人集めて街頭演説をしても、いまどこに投票しようか決めていないとか、迷っているとかいう有権者はほとんどそういう大規模な街頭演説には来ませんでした。
今回の選挙でも「こんなに街頭演説では盛り上がったのに」とか「手ごたえはあったのにこの得票なはずがない」などの声も多数聞かれますが、基本的に、あなたがたが欲しい無党派層有権者はネットで政治のことを調べないし、ニュースをテレビで観ないし、街頭で候補者の演説を大混雑の中で汗かきながら見ないのです。
蓮舫さんが喉から手が出るほど欲しかったはずの無党派層、若者からの支持・投票を得るには、大規模演説は効率が悪く、自己満足のようなものになってしまったのでしょう。