結局、選挙期間外である立憲の参議院議員時代に、蓮舫さんはどれだけ都民と向き合って東京都内の駅前でミニ街頭や演説、集会を積み重ねてきましたか、って話になります。
17年まで民進党代表を務め、知名度を生かして立憲の中では抜群の強さと影響力を持っているのですが、実際に投票するのは過半が「あんまり政治に興味がない人」なのです。そういう人たちが、この人に投票したいと思えるのかどうかの一番重要なファクターは「自分たちの近くにいる人なのか」「生活を良くしてくれるか」に他なりません。知名度ももちろん大事なのですが、その人に投票するストーリー、理由が重要なのです。
知名度だけで言えば、確実に都民の間で劣る石丸伸二さんに抜かれて蓮舫さんが3位になるはずがないじゃないですか。
今回、ネットパネルでは各社争点別のクロスを展開していますが、複数調査の数字を合計して傾向値を出すと、都の有権者のほぼ全年代の男女7割以上が蓮舫さんを「古い政党政治の候補者」と見ている可能性があります。まあ、実際その通りではあるんですけど。
なので、蓮舫さんの訴える改革は、一般的な都民から見るならば、蓮舫さんが古い政治を改革をするのではなく、有権者からは「蓮舫さんは改革される側」と見られていることになります。いわば、街頭で蓮舫さんが頑張って「政治を変える」と力説していたとしても、有権者のかなりの割合が「お前が変われや」と思っているのでしょう。
そして、おそらく蓮舫さんの選対を仕切った東京5区の立憲幹事長代理・手塚仁雄さんは、共産党との共闘を視野に入れるため、れいわ新選組には応援を実質的に求めず、連合東京とは実質的に手を切ってしまいました。よって、連合東京と国民民主党は、都民ファーストと一緒に小池百合子さんの応援に回ってしまい、オール東京どころかオール左翼になってしまったのは大変でした。
蓮舫さんや著名な応援弁士による反自民・非小池という左派定番のアジるような批判的な街頭演説にせよ、フライングで配った蓮舫さんの公約にせよ、どれも古き良き野党しぐさであり、有権者にとっては自分の一票を託したいと思えるものではなかったのかもしれません。
都知事選の本当の争点は何だったのか
結局のところ、今回の都知事選は事前の調査でも出口調査でも有権者の意向は「年金・社会保障」と「景気・雇用」がワンツーであり、次いで「防災・安全対策」「政治不信・カネの問題」「教育・子育て」「都市計画・渋滞、満員電車問題」、そして「少子化対策」「治安・生活安全」と、東京固有の問題が並んでいます。
単独回答では経済がトップですが、都知事はお前ら都民の給料や年金を直接左右するような政策を実施できませんから、実質的には雇用(労働環境)や防災、社会保障と子育て教育あたりが政策面での争点となり主戦場となります。