でもって結果はというとトレーニングを積んでいれば女性でも夜明けまでに帰宅するのは不可能ではないという驚きの報告だった。それを分かっててぎりっぎりの設定をしたんだとしたら、それもすごいなと思う。もっともニップレスとかしてないと乳首が擦れて血が出るよ、ということだった。以来、鉄輪の女のことを考えるたび、乳首大丈夫かなーと心配してしまうわたしであった。
正体不明のもやもやが
ところでランの写真を紹介したいから送ってほしいとお願いしたら、これが予想の遥か斜め上を行くキョーレツな画像だった。ので、ちょっと脱線するけれど何枚か紹介したい。
まずは出発点、鉄輪の井戸の前でパチリ。丑三つ時(午前2時)あたりに貴船神社へ到達できるように逆算して時間は午後11時。
貴船神社を目指して鴨川を北上。当日はときおり小雪のちらつく寒い晩だったようだ。しかし湿気はなく空気は澄んでいたという話。まずは、ご覧ください、喜国さんの後ろ姿を取り巻くオーブの数々。正体不明のもやもや……。
鉄輪の女も一服した下鴨神社を経由して京福電車の踏切を越えるころ、もやもやはピークを迎える。
ひどくヤバい写真のようだが、このあと霊障的なものはとくになかったそう。むしろ走り終えたあと憑き物が落ちたようにすっきり爽やかだったと喜国さんは語る。たぶん京を斜めに貫く北東の鬼門ラインには、こういう“ナニカ”が猿に導かれ常に通ってくるのだろう(特別エッセイ#3参照)。
そしてついに薄っすら雪化粧をまとった貴船神社に到着。門は閉ざされ灯りはすべて消えている。かつて、こんな貴船をわたしは知らない。そして、これが鉄輪の女の見た貴船である。
もちろん山奥にもデフォで、もやもや。
面白いエピソードなのだが、市内に戻ってきた喜国さんは「なぜか」そんな気になって予定になかった晴明神社へ寄り道しているのだ。それを聞いたときわたしはけっこうゾッとした。だって、お能の演目「鉄輪」で丑の刻詣りの女を成敗するのは誰あろう安倍晴明なのだから。
それにしても晴明神社の鳥居に掲げられた額のシンボルマーク五芒星が照明でも仕込まれているように光っているのは何故? フラッシュの反射には違いないが、あまりにも不自然な輝きだ。
おそらく蓄光塗料が塗られているのだろうが、それでもわたしは鬼門除けの総本山である晴明さんが連れてきてしまった“ナニカ”を祓ってくださっているように感じた。