文春オンライン

「苦笑いしてしまった」「打ち切り漫画のように急に話がしぼんでしまう」…ゲームの“リメイク作品”が陥りがちな“落とし穴”とは〈あの有名ファンタジーRPGでは…〉

10時間前
note

Nintendo Switchの現状とビデオゲームの歴史の堆積

 リメイクやリマスターが増えていると感じる原因は複数考えられる。

 ひとつは、任天堂のゲーム機が次の世代に移ろうとしているからだ。

Nintendo Switchは2017年3月発売なので、発売からもう7年以上も経過している。後継機も2025年3月末までに発表予定だ。画像は任天堂公式サイトより

 任天堂はNintendo Switchの後継機を開発中であることを明らかにしており、当然ながら、それに向けてさまざまな作品を開発しているだろう。一方で、まだ現役のNintendo Switchに向けた作品も出す必要がある。

ADVERTISEMENT

 とはいえ、開発リソースは限りあるものだ。ゆえに完全新作よりもまだ作りやすいリマスターやリメイクが多くなっているのだと理解できる。――もっとも『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』といった新作もあるため、現行機向けに新しいものを作っていないわけではない点には注意が必要だ。

 もうひとつの理由は、ビデオゲームが文化として成熟してきたことにある。クラシック音楽の演奏スタイルが時代によって変遷してきたように、あるいは映画でリメイクやリブートがしばしば行われるように、ある文化の歴史が長くなればオリジナルを作り直される機会が増える、というシンプルな話である。

『ライブ・ア・ライブ』。リメイクにあたって下着を盗むイベントなどが無難なものに変更されるなど、時代に合わせた調整が加えられている。画像は任天堂公式サイトより

 2022年にスクウェア・エニックスから発売された『ライブ・ア・ライブ』はその一例で、約30年前のスーパーファミコンのRPGをリメイクした作品である。