モラハラ男に殴られて、骨折したことも…
――宮崎さんは、女性支援についてもよく発信されています。
宮崎 典型的なモラハラ男と付き合っていたことがあって、殴られて骨折したこともありますし、友だちとは会うな、仕事もするな、という人だったんです。
経済的に自立してほしくないから仕事を取り上げるわけですけど、それであっという間に無一文になってしまって。
――どうやって相手から逃れたのでしょうか。
宮崎 旅行すればスーツケースに荷物を入れてもバレないと思って、一緒に旅行に出て、その帰りに一目散に逃げました。
そのとき、経済的自立は自活につながるということをすごく感じて。相手と縁を切るには、絶対に女性は経済的に自立しなきゃいけないし、自分で稼ぐことで自信もついてメンタルが安定するんですよね。
――「自分さえ我慢すれば丸く収まる」と考えてしまう人も多そうです。
宮崎 「麗果ちゃんの言っていることは正しいかもしれないけど、みんな我慢してなんとかやってるんだよ」と言われたこともあります。
でも、自活していれば、相手に対して我慢する必要もないと思うんです。そもそも、我慢の“先”に幸せがあるんじゃなくて誰にでも“今”幸せになる権利がある。女性ばかりが我慢を強いられている現状があるから、日本のジェンダーイコーリティが先進国で最下位なのではないでしょうか。
消えない「男性が怖い」という思い
――男性に対して今も忌避感がありますか。
宮崎 やっぱり男性が怖いという思いは消えないし、啓司さんと出会うまでは、交際も結婚も二度とごめんだと思っていたくらいで。
啓司さんは優しいけど、喧嘩したりするとときにキツい言い方になることもあるじゃないですか。それだけでも「ウッ」となってしまって。
――身体が反応してしまうというか。
宮崎 韓国ドラマを一緒に観ていたとき、私が感動して泣いているシーンで啓司さんがまったくの無反応だったことがありまして、「あれ!? 実はサイコパス!?」って(笑)。
過去のトラウマも全部話して、こういうのが怖いとか苦手とかって説明して理解してくれて、「サイコパスじゃないから」と言ってくれたのに、「サイコパスほどそういうこと言うからな……」と疑心暗鬼になったり(笑)。
――著書の中では、ご自身のことを「ネオフェミニスト」とも言われています。
宮崎 男性もフェミニズムに参加するのが大切だと思ってます。女性も男性も自然と互いを支え合える社会にしたいと思う一方で、「私が女性を引っ張るリーダーだ!」みたいな思いもなくて。ただただ、“経歴すべてが事故物件”と言われる私の経験を活かしていきたいなと思います(笑)。
撮影=深野未季/文藝春秋