また、男子のバスケで第2節を終えた時点で、全選手のなかで得点ランキング5位に入った日本のエース河村勇輝と同じパーソナルコーチと契約し、肉体改造に取り組んでもいる。男子のBリーグは給与水準が(アメリカのNBAを除いて)世界のトップ5に入る勢いだから、パーソナルコーチと契約するのも経済的には苦ではないが、日本の女子のWリーグの給与水準はそこまで高いわけではない。にもかかわらず、そうした投資を惜しまないのは、それだけ高いところを目指しているからだ。
彼女などは、本当にシュートが上手いからこそ、両手シュートを貫けた選手として、さらなる成長を遂げるかもしれない。
そして——。
バスケと同じくアメリカで生まれた野球で大成功した日本人選手を思い浮かべてほしい。
指導者にも懐の広さがあってもいいはず
古くは王貞治の一本足打法、平成に入ってからはイチローの振り子打法も、野茂英雄のトルネード投法も、王道とはかけ離れていた。フォームの効率性だけを考えれば、決して薦められるものではない。あるいは、前代未聞の二刀流に挑戦している大谷翔平も、効率を重視するだけの選手であれば違う道に進んでいたはずだ。
彼らはそうした『個性』をつぶさない、あるいは、『オリジナリティ』を認めてくれるような指導者との出会いを経て、超一流の選手になった。
実は、近年の日本では、過激な文言とともに一部に残る両手シュートを目の敵にする指導者も多い。しかし、それは個性をつぶすことと紙一重だ。
日本の女子バスケ界でもワンハンドシュートが主流になってきたからこそ、同調圧力をかけるのはやめてもいいのではないだろうか。
指導者として、それぞれのシュートフォームの特長を説明したうえで、それでも両手を使って高い確率でシュートを決める選手のフォームは個性として認める。そんな懐の広さがあってもいいはずだ。