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人類史上最高のシューターが全てを変えた

 だが、適切な筋力トレーニングをしたり、人類史上最高のシューターとも言えるアメリカ代表のステフィン・カリーのような正しいシュートフォームを身につけたりすれば、筋力に頼らずともボールを遠くまで放れることがわかってきた。だから、女子であってもワンハンドシュートを敬遠する理由がなくなった。

ステフィン・カリー公式インスタグラムより引用

 また、両手シュートは、ワンハンドシュートに比べてメリットが少ないという事実が浸透してきたことも大きい。以下に、それぞれの主なメリットを挙げよう。

 両手シュート:

 ・シュートの飛距離を伸ばしやすくなる(力のない選手でも3Pシュートを打てる)

 ワンハンドシュート:

 ・シュートの打点が高くなる(相手からブロックされづらくなる)

 ・シュートの種類が増えるor体勢を崩しながらでも打てる(身体を後ろに倒しながら放つフェイドアウェイシュートなども打ちやすい)

 ・シュートフェイントをした後、次のプレーに移りやすい

 ワンハンドシュートのアドバンテージの方が多いことは明白だ。

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 ただ、ワンハンドシュートが主流になってきたからこそ、逆の考え方も出てきた。

一方、トム・ホーバスは両手シュートの良さを再認識している

 東京オリンピックで女子の日本代表を指揮して銀メダルを獲得したアメリカ人のトム・ホーバス(現男子日本代表のヘッドコーチ)のように、両手シュートの良さを再認識した指導者もいる。彼は、東京オリンピック後に出した著書「ウイニングメンタリティー」でこう記している。

©文藝春秋

「アメリカが強いのはもちろんですが、アメリカのやることすべてが正しいのかと言えば、そうは思いません。世界の女子選手が男子のようにワンハンドでシュートを打つのに対し、日本の女子選手はツーハンドで打っています。それが世界の潮流からかけ離れているなどと批判的に言われたりもしますが、私たちは、東京オリンピックにおいて、そのやり方で世界一のシューティングチームになったのです。(中略)

 確かに日本はツーハンドで打つ選手が多いのですが、海外のチームとの対戦において、そのやり方は相手ディフェンダーを守りにくくします。ツーハンドの選手は、シュートを打つタイミングやフットワークがワンハンドの選手と違うからです」

 一般的な方法で女子バスケ界の頂点に近づきたいのであれば、迷わず、ワンハンドシュートを選ぶべきだ。ただ、体格やフィジカル面でのハンデを克服したいのであれば両手シュートを選択してもいいのかもしれない。