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と、なんだか登山気分が盛り上がってきますが…

 ……と、なんだか高尾山気分が盛り上がってきたところではあるけれど、ご存知の通り高尾駅、高尾山の登山口に直結している駅ではない。

 高尾山の登山口は、高尾駅から京王線に乗り換えてひとつお隣、高尾山口駅だ。高尾山口駅は、かの隈研吾氏の手がけたデザインの駅舎で、温泉施設も併設されているというなかなかたいそうなもの。駅の周りの雰囲気ともあわせて、だいぶんそちらのほうが“高尾山の玄関口”にふさわしい。

 いっぽうで、高尾駅はどうだろう。北口の駅舎は例の通り寺社建築風の立派な設えだし、どことなく「いざ、ハイキング」のムードも漂う。けれど、実際にここから高尾山の登山口へ向かおうとするならば、ざっと1時間近くは歩かねばならぬ。

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 いくら高尾山、ケーブルカーもあるとはいっても山は山。1時間歩いたあとに登るのは大変そうだ。バスに乗って、という手もあるが、だったら最初から京王線に乗り換えれば済む話。

 というわけで、高尾駅。高尾山から名前を頂きつつも、微妙に高尾登山の玄関口とは少し違い、かといってやっぱりこの駅に降りれば高尾山ムードは漂っているわけで、つまりはなんともいえないポジションの駅なのではないか、と思うのである。

駅前の道は甲州に、そして新宿につながっている

 さっそく、高尾駅前を歩く。といっても、高尾駅北口正面の道を下れば、すぐに甲州街道である。この道を、ずーっと東に辿っていけば、八王子や府中を経て味の素スタジアムをうかがい、新宿へ。西に辿れば、山を越えて文字通りの甲州へと続いている。

 

 この甲州街道を渡った向こう側には、南浅川という小さな川が流れている。南浅川の向こう側にはもう小高い山が聳える。この山の中腹にあるのが、武蔵陵墓地だ。大正天皇・貞明皇后・昭和天皇・香淳皇后の陵墓が造営されている皇室墓地。明治天皇陵は京都・伏見桃山にある。関東地方にある天皇・皇后の陵墓はここだけだ。

 つまり、高尾駅は武蔵陵墓地の最寄り駅たる役割を持っている、というわけだ。