毎年8月11日は、「山の日」らしい。

 旗日なのだから「らしい」などという次元の話ではないのだが、なんだか他の祝日と比べると存在感が薄い気がする。個人的に登山を趣味にしていないから、というのはあまり関係ないだろう。もともと8月11日がお盆時期とかぶっているから、ことさら祝日であることを意識することがない。だから、「山の日」は、地味なのだ。

 などといったところで、山の日があろうがなかろうが、夏は登山のシーズンである。猫も杓子も、日本人も外国人も、あちこちの山にやってくる。まとまった休みが取れなかったり、本格的な登山まではご遠慮願いたいという向きも、日帰りで手近な山にハイキング、くらいはするのではなかろうか。

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 たとえば、東京の人ならば、高尾山。サルもいるしビアガーデンもあるしソバも美味いし、高尾山はいうまでもなく東京都民にとって特別な山だ。

中央線“ナゾの終着駅”「高尾」には何がある?

 そういうわけで、中央線の「高尾行き」に乗った。電車の中には、そこそこ張り切ったハイキング姿のお客もちらほらと。東京駅から高尾駅まで、中央特快なら1時間ほど。普通の快速電車でも、1時間15分ほどで高尾駅に着く。

 

 高尾駅は、いわゆる中央線快速電車、オレンジ色の中央線にとっての終着駅だ。他にも豊田行きや武蔵小金井行き、はたまた高尾駅を超えて大月行きなどもあるが、東京の人に「中央線の終点は?」と聞いたらだいたいが高尾駅と答えるに違いない。

今回の路線図。東京駅からは1時間ほどの距離にある「高尾」

 そんな高尾駅、2面4線のホームと広々とした構内を持ち、3・4番のりばのホームには、巨大な天狗面が鎮座している。高尾山といったら天狗、天狗といったら高尾山。すでに大正時代の頃には、高尾山の土産物として魔除けの天狗面が人気を集めていたという。ホームの上の天狗面は1978年に設置されたとか。

 

 そして、高尾駅の駅舎はこれがまたまあ実に立派な面構え。寺社建築をイメージさせる風格ある木造の建物で、いかにも高尾山の玄関口らしさを醸している。駅舎の脇にはなんだかオシャレな店舗が並び、駅前広場は大きなバスロータリー。そして、駅前の道を少し北に下りてゆくと国道20号、すなわち甲州街道だ。