8月8日、パリ五輪の卓球女子団体準決勝が行われ、日本はドイツに3-1で勝って決勝進出を決めた。いよいよ金メダルをかけて中国との大一番を迎える。

 この準決勝で存在感を放ったのは早田ひな(24)だった。ドイツ戦では、平野美宇(24)と組んで勝利した第1試合のダブルスだけの出場だったが、プレー以外の面でも早田がチームにとって重要な存在であることを再確認する試合だった。

早田ひな ©JMPA

「早田さんが『思い切って』と声をかけてくださったおかげで」

 例えば第2試合と第4試合に出場した張本美和(16)は、第2試合で0-3と完敗した後に第4試合に出場して3-0と圧勝している。しかも最後のゲームは11-0と1点も許さなかった。

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 わずかな時間で状態を立て直せた理由を、張本自身がこう語っている。

「4試合目ですぐに切り替えてプレーできるのか不安でしたけど、早田さんが『思い切って』と声をかけてくださったおかげで、そのひとことで乗り切ることができました」

 選手としては成長著しい張本だが、まだ16歳。さすがに初めての大舞台に重圧がのしかかっていた。それを見て早田が的確な言葉をかけたのだ。

張本美和が早田のことを本当に頼りにしているのが伝わってくる ©JMPA

  試合後、早田はリザーブの木原美悠(20)にも言及した。

「銀メダル以上を確定できました。木原選手にメダルをかけたいと思っていたので、自分の(個人戦の)銅メダルと、(団体戦で)銀メダル以上を獲ったときは4人でメダルをかけて最後写真を撮りたいと思っていました」

 試合に出場できない木原に心配りをする言葉からは、チームの柱である自覚があふれていた。