脱毛もショックだったが、気にしている状況じゃなかった
――脱毛といった見た目の変化もあったんですよね。
友寄 もちろん脱毛も衝撃ではあったんですけど、最初に「白血病です」と言われた衝撃があまりに大きかったので、ショック慣れじゃないですけど、覚悟の範囲内というか。
それに、本当に体調が悪いときは外見なんかどうでもいいので、気にしている状況じゃなかった、というのが正しいかもしれないです。
――16歳という年齢だと、小児病棟になるのでしょうか。
友寄 そうです。私の入院した病院では、壁にはアンパンマンとかのキャラクターがいっぱい貼ってあって、全体がオレンジを基調にした明るい空間で、保育園に入院したのかな? って思うようなインテリアになっていました。
自分の病気と向き合うきっかけになった“出会い”
――小児病棟内では年上のお姉さんになるかと思いますが、他の患者さんとの交流もありましたか。
友寄 動けるときにラウンジに顔を出すと、いつも子どもたちがいて、その子たちとの交流にもすごく励まされて。
入院している子たちって、どんなに小さい子でも、みんな病気のことを何となく理解してるんです。七夕のお願いごとを見ると、「自転車に乗りたい」とか「お母さんと遊びたい」とか、元気な子だったら当たり前のことがお願いごとになっているのが切なかったです。
――小さくても病気に向き合っているんですね。
友寄 当時、中学生だった女の子が、「病気になったのが自分で良かった」って話してて。「こんな苦しい経験をするのが、大事なお母さんや妹じゃなくて、我慢できる私で良かった」と言うんです。
病棟で自分は最年長でしたけど、ずっと「病気になったのは誰のせい?」とか、「神様が私に罰を与えたんだ」みたいに、病気になった原因ばかり考えていたので、彼女の言葉にハッとさせられて。ずっと後ろ向きでしたけど、それからはちゃんと自分の病気と向き合わなきゃと思わされました。
撮影=釜谷洋史/文藝春秋