学生運動ははるかに潰え、すぐそこに『スター・ウォーズ』の時代が迫っていた。僕の中では解散を表明したキャンディーズと、萩尾望都や大島弓子ら少女漫画家がひとつのものになっていた――日本映画界の「青春時代」をたどるインタビューシリーズの第4弾。(全4回の2回目/前回を読む、続きを読む、#4を読む)
8ミリ第1作『気分を変えて?』
――『気分を変えて?』は高校何年生で撮ったんですか?
犬童 高校3年の文化祭で上映した。
――クラスで作ったんですか?
犬童 いやいや。僕が教室を借りてやったんですよ。誰も仲間がいないので。高校でそういう映画を一生懸命作って上映しても、ウケないんですよね。
――エンタメじゃないですからね。
犬童 実はこれ、1時間あったんですよ。それで、リールが2本に分かれていたんです。映写機が30分しかかからないから、上映する時は30分でリール交換しなきゃいけないじゃない。そうすると、全員出ちゃうんです。
――一回中断になるから。
犬童 電気つけてリールを入れ替えている間に、全員いなくなっちゃうから、誰も最後まで見ない問題というのが初日に起きたんです。それで、僕がたぶん長い人生でやった行為で一番偉かったことはこれだと思うんですけど、その日の夜に30分にした。
――短縮版を作った。
犬童 一晩で要らないシーンを抜いて、ジャンプカットとかして、30分のリールギリギリに収まるようにしたんです。結局のところ、それをやってもウケるわけじゃないんだけど、自分で見てムチャクチャ面白くなった。1時間の時よりも、30分に編集したほうがすごくいいんですよ。怒涛のような勢いがあって。そっちのほうが自分の頭の中にあったことが凝縮されているというか。
――そこで学んだんですね。
犬童 そう。編集ってすごい。編集でこんなに変わるんだって。その経験はいまだに影響してるんですよ。僕が編集し始めるとずっと切っちゃう。途中で止められないんですよ。
――撮ったものに思い入れがないほうなんですね?
犬童 どんどん切っちゃう。編集マンに止められるんです。
――せめぎ合いがあるんですね。
犬童 僕が「あそこのシーンは…」と言ったら編集マンが守りに入る。「また切るって言い出すぞ」みたいな。それは絶対この時の経験が影響しているんですよ。