授業でみんなで映画を作るなんて嫌だった

――『赤すいか黄すいか』の時はどういうメンバーだったんですか?

犬童 これは、ほとんどスタッフは大学の同級生ですね。

『赤すいか黄すいか』チラシ裏

――犬童さんの学校はどこでしたっけ?

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犬童 東京造形大学です。だから、カメラを回せる人間はいるから、この時から僕は自分でカメラを回してないんですよ。

――映画の学科があったんですか?

犬童 映像学科だから、写真と映画を両方やるんです。僕は実習が嫌で。授業で映画を作るのがとにかく嫌なんですよ。だから、映画の分析とか、映画史とか、西洋美術史とか、そういうのばっかり取ってた。期日までに写真とか映像を作るのが嫌なんですよね。それって、評価を聞くために作ることになるじゃないですか。まあ、そのために学校があるんだけど。だから、皆さんはやったほうがいいですよ。本当に。ただ、僕は嫌なんです。

――まあ、映画なんて評価できないですもんね。

犬童 あと、実習だとみんなで作ったりするんですよ。誰が監督、カメラマンって、役割分担して。でも、みんなで作るって何?と思ってました。

――民主的に作るものじゃないと。

犬童 民主的に作るじゃないですか。脚本を選んで。成蹊高校の映研もそうでしょう? 

――そうですね。脚本を全員が書いて、投票して決めて、みたいな。

犬童 そこでみんなの意見も聞いて、となる。勉強のためにはいいかもしれないですけど。僕はそれが駄目なんです。

犬童一心監督 撮影 藍河兼一

――手塚さんもそうやって作ったけど、やっぱり違うなと思っていたと、この前言ってました。

犬童 言ってました? 『FANTASTIC★PARTY』の時に?

――そう。脚本直しとかで、正論を言われて直したけど、本当はこれがいいと思っているのに、みたいなことはあったと。

犬童 みんなで話すと、言語化して、そっちが正しいみたいになっちゃうでしょう。

――そうですね。つじつまが合わないと言われて直さざるを得ないけど、別にそんなのいいのに、と内心思っていたそうです。

犬童 だから、僕は勝手に映画を撮って、卒業制作も勝手に撮った映画を出して、それで卒業しているので。