きっとみんな、自分の話を聞いてもらいたいのに、身近な相手は忙しくてなかなか耳を傾けてくれない。そんなとき、どんなトラブルもさらけ出している私や私の読者なら、きっと聞いてくれるんじゃないかと考えるのはよくわかります。

 読者のみなさんのどんな反応だって私にはおもしろいし、糧になるし、考えさせられること・教えられることが多いです。

 あるときSNSを通して私に『死ね』というメッセージを送ってきた子は、じつは自分自身が障害を持っていて、学校でいじめられていたやり方を私にぶつけてきていたのだと、あとからわかりました。その子が抱えてた苦しみや悲しみを、私がまた伝えていかないとと思いました。

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 また、私がコロナのワクチンを打った話を書いたら、すごくキレてきたおばあちゃんもいました。ヤバそうだから無視しようと思っていたら、そのメッセージがとても心打つもので。かつて家族の方が末期がんになり、病院の先生に言われるままに抗がん剤治療をしたところ、最期はめちゃくちゃ苦しみながら亡くなられたのだそう。

 以来、医者のことを信用していないのだという。それで私にもすごくキレてきたんですね。そういう背景を聞かずに済ませていたら、そのままお返事をしないでいました。

ドラマを通して味方が増えてくれたら……

 このおばあちゃんの激しい怒り、私には理解できるところが多かったんです。私が父を亡くしたとき、病院の先生は18時42分ですと死亡時刻を冷静に言うばかりで、正直、なんて冷たいのかと思いました。でも、あとから母に聞いたところその先生は、『娘さんが中学校から到着するまで何とか心臓を持たせるんだ』とバンバン薬を投与して心臓マッサージしていて、私が到着したときは必死に泣くのを我慢しているようだったとのこと。

 父を亡くした直後の私は、ただ自分が苦しくて悲しくて、だれかを恨みでもしないとやっていられない気持ちで、病院の先生にあたっていただけだった。私にキレてきたおばあちゃんとやりとりをして、そのことを思い出したんです。

 読者のみなさんがいつも私に、いろんなことを気づかせてくれていますね。

 さっきも言ったとおり、読者の方々は私と岸田家の味方に違いないと、私は勝手に信じていますから。ドラマをきっかけにして、味方がさらに増えてくれたら、こんなに心強いことはありません」

撮影 青山裕企

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テレビドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」
https://www.nhk.jp/p/ts/RMVLGR9QNM/