社会問題に関心を持つ入り口としても…
社会の問題を取り扱ったゲームもたくさんある。『This War of Mine』はサラエボ包囲、つまり実際の戦争を題材にしたサバイバルゲームで、つらく苦しい状況で必死に生き延びる一般人の生活を描いている。ほかにもクィアを描いたゲーム、宗教の信仰と現実の差異を描いたゲームなど、もはやゲームは社会を描くようになっているのだ。
あるいは、ゲームは教養であるとすらいえる。マンガやアニメで人気の『ダンジョン飯』や『葬送のフリーレン』といった作品は、ゲームの文脈を前提にした作品である。もはやゲームを知っている人向けの新たな創作が行われる時代であり、それらがヒットする状況なのだ。
もっと単純に見れば、ゲームは癒やしにもなる。パズルゲーム『テトリス』がメンタルヘルスの改善に役立つのではないかといった研究があるように、ゲームに熱中しているときは眼の前の遊びに集中でき、それが人の心を落ち着かせるのである。
ここまでいろいろな理由を並べたが、子供がゲームを遊ぶメリットとして、中でも重要なものが「コミュニケーション」といえよう。
ゲームによるコミュニケーションが当たり前の時代
ゲームには「ひとりで遊ぶもの」というイメージがあるかもしれないが、実際はコミュニケーションが前提になっているものも少なくない。というより、人間にとってコミュニケーションは大きな娯楽であり、それを用いたゲームは流行りやすいのである。
日本で大流行した『あつまれ どうぶつの森』もプレイヤー同士のコミュニケーションを主軸にした作品だし、「ポケットモンスター」シリーズもほかの人との交換・対戦を楽しむという意味でコミュニケーションの遊びだ。『フォートナイト』や『ロブロックス』はゲームのなかに交流を楽しめる世界が用意されており、それが大きな支持を得ている。
いわば、現代はゲームのなかに公園があるような状況だ。雨の日や外に出づらい気候、あるいはコロナ禍のような状況はそこで遊ぶのがベターだろうし、そのうえ現実にはない楽しみ方ができるわけだ。親が付き合えば、家族の交流にも繋がるだろう。
もはやゲームはわれわれの日常生活に食い込んでおり、単なる娯楽を超えつつある。楽しい学びにもなるうえ、公園のような場所ですらあるというならば、遊ばせるべきだと言うほかない。子供からコミュニケーションを取り上げるべきだろうか? と問うとしたら、答えは聞くまでもなかろう。
とはいえ、「コミュニケーションさせることが心配なんだ」という声もあるだろう。実際、ゲームを子供に遊ばせるデメリットもある。#2では問題点とその対策を考えていきたい。