みんな大好き、東横線——。東急には、田園都市線や目黒線などいろいろあるけれど、やっぱり東横線は押しも押されもせぬ中核路線だ。
いかにもターミナル然とした渋谷駅はいつしか地下に潜り、地下鉄との直通運転がはじまった。おかげで、東横線内だけを走る列車はほぼ消滅してしまったが、そうであっても東急東横線の存在感が薄れることはない。
と、そんな東横線。その行き先はというと、だいたいが元町・中華街駅だ。
いまではお馴染み「元町・中華街行き」だが...
渋谷駅を出発した東横線は、目黒川を渡って中目黒、学芸大学や都立大学を経て、自由が丘は大井町線と交差するターミナル。
田園調布駅では目黒線、多摩川駅では東急多摩川線と接続し、多摩川を渡ると武蔵小杉のタワマン群が見えてくる。日吉はいわずと知れた慶應義塾大学の門前駅だ。
かつては温泉があった綱島駅を過ぎると鶴見川を渡り、東海道新幹線と交差すると横浜線と接続する菊名駅。以後、横浜市郊外の住宅地の中を走って横浜駅に向かう。
ここからは地下を走ってみなとみらい地区へ。馬車道や日本大通りといった、幕末以来の港町・横浜の中心だったエリアを東に走り、終点の元町・中華街駅へ。北にはマリンタワーに山下公園、西側には駅名の通りの横浜中華街が広がる終点のターミナルである。
正しくは横浜〜元町・中華街間は横浜高速鉄道みなとみらい線で、東横線とみなとみらい線の直通運転、というのが正確なところ。
ただ、実態としては東横線の終点が元町・中華街駅といっても差し支えなかろう。東横線は、最後の最後に横浜のいちばん横浜らしいところを走って終着を迎える。
でも、終着駅が元町・中華街駅になったのは、だいぶ最近のことだ。2004年2月1日、みなとみらい線の開通と東横線との相互直通運転開始によって、東横線の終点も元町・中華街駅になった。2004年、つまり20年ほど昔。
すっかり「元町・中華街行き」の東横線が定着したいまとなっては、つい最近といわれてもピンとこないかもしれない。けれど、開業からもう100年近いという東横線の長い歴史からすれば、ほんとうについ最近のことだ。