下ネタ連発で男性ファンも獲得

 話のテーマにも、タブーなんてつくりません。彼が当時付き合っていた彼女のことから下ネタまで、アイドル・木村拓哉にガンガン話を振りました。本人も決してノーを言わず、こっちが渡したものを「わかったよ」と、挑戦状を受けるように向きあってくれました。

 放送は毎週話題となり、女性誌がすぐ後追い記事を載せます。若い僕はどんどん調子に乗って、内容はエスカレートしていきました。

 1995年にSMAPがシングル曲『KANSHAして』をリリースしたとき、ディレクターの栗原(広志)さんと相談して番組内で企画したのは、「大ガンシャ祭」(笑)。

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 木村拓哉に思い切り「ガンシャさーい!」と叫ばせたところ、番組が終わってからSMAPのマネージャー・飯島三智さんにメチャクチャ怒られました。やっていいこととやっちゃいけないことがある、と。ごもっともです。

 あれはさすがにやり過ぎだったかもしれませんが、やんちゃな男子校のノリを全力でやりきってくれました。

 彼は当時、糸井重里さんがやっていたTBSの深夜番組「カミングOUT!」にレギュラー出演していて、ある日のテーマが「オナニー」。そこでも彼は、自分のオナニーの話を正面からしていましたね。

 気安く放課後のバカ話みたいなことができるキャラクター。それはまったく新しいアイドル像となって、女性のみならず、同世代の男性にも大いに受け入れられていきます。

 田原俊彦さんや本木雅弘さんなど、旧ジャニーズ事務所で大人気だったタレントは彼以前にもいますが、そのなかで木村拓哉が革命的だったのは、男性ファンをたくさん抱えたことです。

 それまでの旧ジャニーズ事務所のアイドルは、男子にとって嫉妬の対象でした。僕らの世代なら、中学生のころ女子たちは皆、光GENJIや少年隊に夢中だった。グッズの下敷きや雑誌『明星』の切り抜きを持っていて、男子はそれを横目で見ながら、ただただおもしろくない気持ちだった。

 そこへ木村拓哉が出てきて、男子の支持を得ることとなります。男性アイドルが着ている洋服に憧れ、男子たちが真似して同じ服を買う現象なんて、彼以前にはあり得ないことでした。