新しい仕事が順調なスタートを切れているのかどうか、まだ結果が出ていないので判断はつきかねますが、いろんなことが改めて見えてくるものだなとは感じています。長く付き合ってきた間柄だけど、放送作家を辞めた僕には何の価値も見出さない人はもちろんいます。いっぽうで、こちらの世界じゃ何の地位も実績もない僕に対して、本気で応援してくれる人もいます。これまでやってきたことは無駄じゃなかったと実感できて、感謝の気持ちでいっぱいになりますね。

ちゃんと辞める、そして始める

 こうして新しい世界で存分にやれているのは、テレビと芸能の世界を、ちゃんと辞めることができたからかもしれません。断筆する前の半年間、「週刊文春」にテレビ界への遺言と称したコラムを連載させてもらい、『最後のテレビ論』として一冊にまとめました。地上波連ドラ最後の脚本作として『離婚しない男― サレ夫と悪嫁の騙し愛 ―』も手がけ、たくさんの視聴者に恵まれました。そしてSMAPや飯島さんと仲間との日々を、『もう明日が待っている』に小説として書き残すことができました。

 その著者印税を全額能登の震災の義援金に募金することで、「SMAP×SMAP」に、僕的には「。」を付けられた気がしています。

ADVERTISEMENT

SMAP ©文藝春秋

 ちゃんと辞める、そして始める。僕の場合はそれがしっかりできたので、気持ちの整理ができたし、幸せな気持ちで次へ移ることができました。

 SMAPも、ちゃんと辞めて、そして始めることができていたら……。

 と思うこともありますが、でも、だからこそ物語は続いていくし、その先の明日が待っているのだと思います。