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分裂直後、山口組系幹部は「これから、大きな音がしますよ」と...

 分裂が明らかになった当時、6代目山口組系の幹部は、「これから、大きな音がしますよ」と不気味な発言をしていた。

 ここで言う大きな音とは「銃声」を意味する。拳銃を使用しての凶悪な事件が起きずに済むわけがないといった趣旨だった。

©時事通信

 分裂が起きた2015年内は、双方にらみ合いの状態が続き、不気味な平穏が保たれていたが、年が明けた2016年2月23日、福井県敦賀市の神戸山口組正木組の本部事務所への発砲事件が発生。

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 この事件が抗争激化の「号砲」となったのか、全国各地で連日のように発砲、火炎瓶の投げつけ、集団乱闘、車両突入などが続発。歯止めが利かない状態となり、戦線は広がった。

 そして2016年5月、これまでとはまったく異質な事件が発生する。岡山市内で神戸山口組の池田組若頭だった高木昇が射殺されたのだ。実行犯は高木の行動パターンを下調べするなど入念な計画、準備を経て実行に及んでいた。逮捕されたのは6代目山口組の弘道会系の組員だった。

 さらに2016年7月には神戸山口組の山健組系幹部が射殺され、同年8月には6代目山口組系組織の元組員が刺殺された。その後も数年にわたり、対立抗争事件はことあるごとに発生し、止まることはなかった。

出所した6代目山口組ナンバー2の高山清司 ©時事通信

 しかし2019年10月、抗争の潮目を変える大きな「事件」が起きる。

 恐喝事件で懲役6年の判決を受け、東京の府中刑務所で服役していたあの男が出所してきたのだ。その男の名は、6代目山口組若頭・高山清司。6代目山口組傘下組織の組員たちは高山の出所に合わせて功を競うように走り出した。高山の出所によって、対立の構図は大きく6代目山口組に傾いていった。(敬称略、一部の肩書は当時)