男性のいる職場で働く=浮気
とはいえ、夫がそこまでA子さんとほかの男性との接触を嫌がる理由が気になります。
人となりを詳しく聞いてみると、夫は職場だけでなく、学校も女性が極めて少ない環境で育った人で、さらにA子さんと交際するまで一度も女性と付き合ったことがなかったそうです。当然女友達もいません。
そのため、異性と会話したり、異性のいる職場で働いたりすることが浮気につながるという、極端な考え方を持ってしまったのかもしれない……。A子さんはそう話しました。
夫には、A子さんの両親が「怒鳴られたり監視されたりするのがつらいということなので、実家で休ませています」と連絡を入れていました。夫からの返事を見せてもらうと、「A子が不倫をしようとしていたので指導をしただけです」「勝手なことをしないで帰ってきて家事と育児に専念するように言い聞かせてほしい」「男のいる職場で働きたいと言い出すなんて、おたくはどんな教育をしていたのですか」という長文が何度も送られてきていて、反省する様子は全くありません。
妻を責める主張を繰り返す夫
A子さんからの依頼を受けて、離婚の協議をしたいと申し入れても、夫はとりつく島がありませんでした。そこで、離婚調停を申し立てると、夫は弁護士に依頼せず自分で調停にやってきました。
そして、夫のモラハラで離婚したいというこちらの主張に対して、「A子は不倫をしようとした有責配偶者なので離婚は認められない」という自作の長い書面を提出してきました。
ネットで調べたり、無料の質問サイトで質問したりして作った書面のようですが、A子さんが不倫をしたという証拠は何もありません。調停委員に「何か根拠はあるのですか」と聞かれると、「女は家にいるもので、外に出て働こうとするのは不倫目的しかない」という持論をとうとうと展開していました。
もちろん誰も相手にしないばかりか、こうした夫の態度は、働こうとしたら怒鳴られ、監視されるようになったというA子さんの主張を補強するものにしかなりません。