1977年のデビュー以来、“国民的バンド”として人気を集めている「サザンオールスターズ」。彼らの半世紀近くの歩みを綴ったノンフィクションが『いわゆる「サザン」について』(水鈴社)である。ここでは一部抜粋し、悩みぬいた末に桑田佳祐が辿り着いた“サザンオールスターズの本当の姿”を語る。(全3回の3回目/#1#2を読む)

©︎時事通信社

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これから先のサザンオールスターズ像とは?

 茅ヶ崎ライブの少し後のこと。再び桑田にインタビューする機会があった。その時、彼はこんなことを言った。「今回の茅ヶ崎は内容的にも非常に充実し、やり尽くした感もあったし、なによりやっていて楽しかったし、実はあれがファイナルでも良かった」。

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 この場合のファイナルは、サザンオールスターズというバンドのファイナル、ということでもあり、この言葉は実に重たい。しかし間を置かず、彼はこうも続ける。

「でも、これこそがサザンの“やめそびれた歴史”というか……。メンバーやスタッフに向けては困り顔なのに、ファンの皆さんに対しては、“待っていてください!〞なんてことを、つい言ってしまう」

 確かに桑田は茅ヶ崎ライブの〆の言葉として、こんなメッセージを客席に届けた。

「また楽しい逢瀬が叶いますよう、サザンオールスターズ、次なる計画を練って、皆さんにご報告することをお約束いたします!」

 現在はサザンオールスターズのレコーディング中であり、2024年6月25日に「恋のブギウギナイト」を発表後、現時点の計画では、冬のリリース予定でフル・アルバムを目指すという。アルバムが完成したら、きっとツアーに出掛けていくことになるのだろう。これから先のサザンオールスターズ像というのは、いったいどんなものなのか。

「おかげさまでこれだけ長い間活動でき、それで調子づいてやってきたところもあるけど、例えば45歳のころに何も考えずやっていたことも、最近は考えてしまうわけでね。自分自身、声もだんだん出にくくなっている。かつての自分達と較べてしまうと、さまざまな齟齬 に悩むことになる」

 では、どうしていけば?

「今後サザンオールスターズを起動させる際は、本音としてもうあまり無理せず、肩肘張らない“気軽な気持ち”がベストだと思っている。もちろん今まで通り、メンバー・スタッフ一丸となって、満を持してファンやメディアの前に出ていくべきだと思うけど、あくまでそのことを忘れずにね」