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 ただ、あなたの真似をするというのは、あなたへの好意の表れではあるのでしょう。お隣さんはあなたをお手本にまずは形から入ることによって、何か得られるものがあるのではないかという期待を持っているのかもしれません。あなたは「ファッションリーダー」として、毎日ご自分のスタイリングを見せてさしあげるようなつもりでいらしたらいいと思います。

 本当にそんな人いるのかと思うのですが、実は中野の真似(といってよいのかどうかもわかりませんが)をしている方もおいでになるようで、もちろんお会いしたこともありませんし、おそらくこれからも会うことはないかとも思うのですが、それでも私が何気なく選んでしまう言葉やスタイルを、懸命に分析して真似なさっているのかと思うと、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになり、プレッシャーにも感じます。

真似というのは、必ず劣化コピーになるんです。

 私の場合とは異なり、あなたは真似する人の顔が見え、距離も近いので、より気詰まりな感じは強いのではないかとお察しします。

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 とはいえお隣さんも人間です。敢えてお隣さんに見られていることを意識してファッションリーダー感をこちらが押し出していくことで、お隣さんは「あ、真似していることに気づかれた」と、これ以上真似することを躊躇するかもしれません。

 真似というのは、必ず劣化コピーになるんです。ですから、どんなに真似してもお隣さんはあなたには敵わないのです。今までどおりあなたはご自分のファッションを楽しみ、さて、どこまで付いてこられるかしら? と、お隣さんで遊ぶのも良いかもしれません。

 あなたというお手本に鍛えられたお隣さんが一日も早く自分のスタイルを手に入れて、あなたからご卒業できるよう、祈っています。

text:Atsuko Komine