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シニアハウスでの生活は…二拠点生活で楽になった

 シニアハウスに入居してから1年以上が経ちましたが、自分の選択は間違ってなかったと思います。部屋は2LDKでこぢんまりとしていて、必要最小限のスペースしかありませんが、共用の部分が大きくて気分爽快です。

 施設内のレストランでは、入居されている男の人も女の人も身ギレイに整えて、楽しく会話しながら食事をしています。ほかにも娯楽室やプール、大浴場、フィットネスルームなどがあって、歌やダンス、麻雀、ビリヤードなどいろいろ楽しむことができる。館内にクリニックがあり、美容師、理髪師も週数回来てくれます。低層階は介護病棟になっていて、ケアが必要な人たちが入っています。

 ここにいると、自分がこれからどのように年をとっていくかが分かります。周りを見ていると、ああなったらいいなとか、ああはなりたくないなって。エレベーターで一緒になった元気なおばあさんが、あとで聞いたら100歳でした。ここには100歳の人が10人もいるそうです。

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 私もなるべく自立していたいですが、いざとなったら介護病棟に移ることになるでしょう。最期は、そこで看取ってもらおうと思っています。安心して死ねるというのはつまり、死後の処置、処理を全部まかせられるということ。ひとり者の私にとっては一番大事なことです。

Ⓒ文藝春秋

 東京と軽井沢の二拠点生活は以前と変わりませんが、今は気持ちがずっと楽になりました。原稿を書いたり作品をつくったり歌の練習をしたりするのは軽井沢。仕事があるときは東京に出て来て、シニアハウスに泊まって準備します。次の日、講演に行ったり、シャンソンを歌いに行ったり、友人と食事をしたり。

『そこまで言って委員会NP』の収録があるときは、そこから大阪へ。だから、歌うときのドレスや、テレビや講演に必要な衣装はすべてシニアハウスに置いてあります。私にとってシニアハウスは老後の生活を送る場所というより、今はサテライトオフィスのような生活拠点のひとつです。

 朝は目が覚めると、散歩とラジオ体操が日課。軽井沢では毎日5時すぎに起きると、むしょうに自転車にのりたくなります。いつも十分ほど歩いて(少ない!)、そのあと自転車で20分ほど田んぼ道を走ります。帰ってきてからテレビを見ながらラジオ体操をしています。軽井沢で歩いていると、犬の散歩をしている人と仲良くなります。犬友だちですね。犬の名前を聞いてもなかなか覚えられないから、メモするようにしています。その犬友だちは書アートの個展やコンサートに来てくれたりします。