1ページ目から読む
3/5ページ目

がんは意外に広い範囲に…

 2日後に結果が出た。エコーでは1.5センチほどのがんが右下に2つ捉えられただけだったが、MRIの画像で見ると、がんは中心部から乳腺全体に白くもやっと、意外に広い範囲に、散らばっている。つまり温存の選択は最初からなかったわけだ。乳頭からの微量の出血を認めたときから、クリニックや病院の先生方はすでにこの状態を予測されており、切除の方を勧めたのだろう。

 大病院の検査漬けについてはよく話題に上り、批判もされる。今回もクリニックで行ったエコーやマンモグラフィーを病院でも繰り返しているが、その目的は結局のところ「取り残しをなくし、かつ無駄に切らないため」だ。開いてから「うわわわ! こんなに広がっている」とか「再発すると困るから、とりあえず全部、リンパまで取っておくか」といったことにならないために、事前に調べられるかぎり調べておくのだろう。

 形成外科の先生や乳腺外科の先生など、チームの先生方との面談と診察は滞りなく進む。

ADVERTISEMENT

 形成のN先生も女性だ。小豆色の診療着と同色のパンツ、スニーカーっぽい靴はほとんどの女医さんたちに共通のスタイルだが、さすがに形成の先生。お化粧や髪形にさりげなくおしゃれ女子の雰囲気を漂わせている。

 だが診察となると、えっ?

 距離が近い。真正面からこちらのおっぱいを見つめ、「ふんふん」と納得したようにうなずきながら、しっかりと顔を見て説明。

 膝頭をかぱっと開いて患者に接近し、椅子に掛けたこちらの体を抱き込むようにして、しっかり観察し、話をするのだ。

 医者だ! とちょっと感激する。普通にセンスの良いおしゃれ女子に見えるが、中身は筋金入りの医者だ。

 聖路加病院にはこの手の若い女医さんがぞろぞろいる。朝のミーティング時など壮観だ。

 入学試験で女子をふるい落としていたT医大よ、こういう方々の可能性を無視するのか?

 有能で頼りがいのある若い女子たちが、結婚し、出産した後も、しっかり仕事を続けられるようなシステムが早急に作られ、機能することを切に願う。