2年後に30周年を迎えるPUFFYには“最終目標”があるという。「達成したら解散しよう」とふたりで話し合っていることとは…。(全2回の後編/前編を読む)。

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なにがなにやらわからないままデビュー

――これは大変なことだという自覚が芽生えたのは、「アジアの純真」でデビューしたあとですか?

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大貫亜美 いや、どうだろう?

吉村由美 自覚はまったくなかったんですよね。デビューして、「サインしてください」と言われても、「え、まだ決めてないんだけど」みたいな。サインなんて大人が決めてくれるものだと思っていたくらいで、衣装に関しても、楽屋にTシャツが置いてあるからそれを着るのかって。民生さんには、音楽以外のことはなにも言われませんでしたけど、他の人も教えてくれないから、なにがなにやらわからないままデビューしたという感じです。

亜美 民生さんが「俺は鵜飼いであいつらは鵜だ」と言って、「う」と書いてあるジャンパーをくれたんですよね。それがデビュー後の目に見える成果というか。そのときに、私たちは鵜として立派にやっていけてるのかもと思いました(笑)。本心ではどう思ってたんだろう?

由美 どんなことを思ってたか知りたいね。なんで聞かなかったんだろう。

©三浦憲治

民生さんは「いまは親戚のおじさんみたいな感覚」

――民生さんは本心の読めない人なんですか?

亜美 謎ですね。ひとりでいるのが好きだけど、必ずまわりに誰かがいて、その人たちのためにいろいろやって。でもなにを考えてるかというと、決してわかりやすいタイプの人ではない。ただ、そこで気持ちをくみ取る必要もないというか。

由美 「黙ってるから不機嫌なのかな?」と思うのは、とうの昔にやめたよね? いろいろ考えてると思うんですけど、他人が考えるよりフラットなんだろうなという印象です。だから民生さんと一緒にいても、無言で1時間過ごせるなって。お互いにしゃべらなくてもなんとも思わないですし、気にならないようにいつの間にかなってました。

――一緒にいて居心地がいい、というのとはまた違いますか?

由美 会話が弾んで話が止まらないということはないけど、しゃべるときはしゃべるし、あえて話す必要もないし。最初の関係とは違ってきて、いまは親戚のおじさんみたいな感覚です。民生さんしかり、私たちに携わってくれた先輩ミュージシャンの方々はみんなそうですね。会うと、「お前らがんばってるか?」って言われるみたいな。

亜美 久しぶりに実家に帰ったら親戚のおじさんがいて、「もう帰る」と言うと「駅まで乗せてってやるよ」って、おじさんとふたりでトラックに乗ってるみたいな空気? こっちはずっと携帯いじってて、「じゃあ元気でなー」「また来るよー」って。伝わるかな?(笑)