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フレンチシェフ・坂田幹靖が考える東北での“食の復興”

この人のスケジュール表

2018/05/21
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坂田幹靖シェフ

 国産食材を積極的に使い、シンプルな調理法で、素材の良さを最大限に引き出す“体に優しいフレンチ”が人気のGINZA kansei。オーナーシェフの坂田さんはこのたび、11年目となる「岩手県文化大使」と6年目の「食材王国 みやぎ大使」に任命された。

 震災直後から炊出しに出かけ、現在も年に6、7度は東北でプロや調理師を目指す専門学校の学生等を対象に、一流の料理を伝授している。

「先日は岩手県立宮古水産高校の食物科で、鶏の解体と鶏料理を教えてきました。世界中で鶏を食べない国はないですから、必ず役に立ちます」

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 復興が進み、現地の人が食の分野で身を立てようとしても、美味しい物が作れなければ、料理人としてもお店も続かない。そこを手助けしたいというのが坂田さんの考え。

 在来種の岩手短角牛やカキなど、“その土地の食材や食文化”にこだわった料理を教えることも心がけている。

「私がフランスから帰国したバブルの頃、日本の野菜は規格化されていて個性に乏しかった。その中で真剣に、いい食材を生産する東北の人達と出会ったのは、財産でした。近頃は、日本全国に個性に富んだ、優れた食材が溢れています。東北を始め、各地の地元食材の魅力を料理を通じて広めていきたいですね」

3.11の直後から、東北でボランティア活動を開始。「“一番リピーターの多い炊き出し”とお褒めを頂いたこともありました(笑)」
2018年3月、岩手県立宮古水産高校の食物科の2年生に、鶏料理の実習中。鶏の解体の仕方を教える。
明日の料理人を目指す生徒さんたちはシェフの手元に興味深々。
今日の実習メニュー、鶏のポトフとポテトのグラタンドフィノアーズの出来上がり。
シェフを囲んでみんなで記念撮影。
東北との縁が深まるにつれて、坂田シェフの銀座のレストランのお食事券がふるさと納税の返礼品に使われたり、東北から生徒さんたちが東京への修学旅行・研修旅行などで訪ねてくるように。写真は岩手県八幡平(はちまんだい)の中学生。シェフにインタビューした後、銀座にある岩手県の物産館を見学して、ふるさとの品々が東京で売られているのを見て感激。復興の担い手たち、がんばれ!

<GINZA kansei>

坂田幹靖シェフ

INFORMATION

GINZA kansei
http://ginzakansei.com/

フレンチシェフ・坂田幹靖が考える東北での“食の復興”

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