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夏がくれば、盆踊りだ。定番だった『端島音頭』は、作詞・作曲・振り付けすべてが島民によるもの。名調子に乗って7番まである歌詞には、島の心象風景が盛り込まれていて、当時の様子をうかがい知ることができる。

各家庭で作った船を海に流すお盆の「精霊流し」の美しさ

また、お盆には精霊流しも行われていた。初盆を迎えた故人を極楽浄土へ送り出す長崎の伝統行事だ。各家庭を出発した手作りの船「精霊船」は、端島小中学校のグラウンドに集結し、その後海に浮かべられ、沖まで持っていっていた。灯籠の灯がゆらゆらと揺れる様子はどこかはかなくて美しい、夏の夜だけに見られる特別な光景だった。

期日は決まっていなかったが、会社(三菱鉱業)の運動会、翌4日には文化祭が開催された。運動会は、小学生から大人までが参加する島一番のスポーツの祭典。特に、アパートの立地場所をもとに決められた地区別と、職場別チームによる対抗リレーに島民は白熱した。

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一方、体育館と公民館を使った文化祭では、絵画や写真、生花、書道などプロ顔負けの作品がズラリと並んでいたとか。島内では、スポーツとともに文化芸術活動も盛んだったようだ。

風来堂(ふうらいどう)
編集プロダクション
編集プロダクション。国内外問わず、旅、歴史、アウトドア、サブカルチャーなど、幅広いジャンル&テーマで取材・執筆・編集制作を行っている。バスや鉄道、航空機など、交通関連のライター・編集者とのつながりも深い。編集した本に『秘境路線バスをゆく 1~8』『“軍事遺産”をゆく』『地下をゆく』(イカロス出版)、『攻防から読み解く「土」と「石垣」の城郭』(実業之日本社)、『路線バスの謎』『ダークツーリズム入門』『国道の謎』『図解 「地形」と「戦術」で見る日本の城』『カラーでよみがえる軍艦島』(イースト・プレス)、『ニッポン秘境路線バスの旅』(交通新聞社)、『2022年の連合赤軍 50年後に語られた「それぞれの真実」』(深笛義也著、清談社Publico)、『日本クマ事件簿』(三才ブックス)などがある。